NHKクロ現 韓寒インタビュー 80后~中国の新人類

中国の世代を表す言葉のうちで、よく耳にするのが80后バーリンホウ/「后」は中国語で「後」)と呼ばれる言葉である。

80后とは、1980年代生まれの、いわゆる一人っ子政策以降に生まれた、若い世代の中国人のことで、彼らは、両親、祖父母という、いわゆる6っの財布からお金をもらえ、物質的には恵まれた生活を送っていると言われている。また、インターネットを自在に操り、情報量も多い。その反面、プライドが高く、我がままという性格的特徴もあるようだ。もちろん、どんな世代でも、色々な人間がいるので、十羽ひとからげに論じることはできないが、一定はそういう傾向もあるかもしれない。

写真は、韩寒(ハンハン)

また80后は、自分の運命は、自分自身の手で決めることができる世代とも言える。彼らの親世代(50年代生まれ)が、幼少期を内戦や文化大革命など、極貧の中で過ごし、限定された生き方しか選択できなかったのと比較すれば、格段の自由ではある。しかし、だからこそ、恋愛、結婚、就職など、自分の生き方に迷いもあるようである。何か、日本の若い世代の状況と重なるところも、ありそうである。

その中国の新人類世代である80后について、NHKクローズアップ現代が、昨年、取り上げていたのが以下の動画である。

NHKクローズアップ現代 韓寒インタビュー

NHK クローズアップ現代 20100426 No.2882 「シリーズ 中国・転換のとき(1) 社会を変えるか“新人類”」 – PANDORATV (2010年4月)

動画、中頃に登場するのが、韓寒(ハンハン/2声-2声)という作家兼レーサーである。彼の言動は、その小説やブログといったものを通じて、80后の象徴として、常に中国人の若者に支持されているようである。そういう点では、日本の「堀江貴文」なんかを想起させるところもある。彼は、動画中、言葉を選びながらも、結構、際どいことまでしゃべっていたような印象を受けた。
「80后は、何が正しいことかはわかっている。しかし、残念ながら現状を打開することはできない。なぜなら中国では、権力が監視される仕組みになっていないから。」
「他の国であれば当たり前に持てる国民としての権利が欲しいと言うこと。」
など権力、権利と言った言葉が、普通に飛び出す。

ただ、自分の経験上、一般の中国人は、何かと言えば、まずお金の話である。権利の話なんてほとんど聞いたことがない。一般市民、特に生活レベルが低い人間は、生活するのに精一杯で、そんな高尚なことを考える余裕もないのだろう。(また広東省という土地柄もあるのかもしれないが・・・)
しかし、生まれたときから(親や周りが)豊かである新人類の80后は、お金以外の価値観に気がつき始めたのかもしれない。「もしかして、自分たちは、そもそも他の国であれば当たり前に持てる権利というものを持っていないのでは?」といった風に。

また韓寒氏は「自分は80后の象徴とは思っていない。なぜなら、多くの80后は、もっと苦労している。現在の中国の経済的発展の恩恵を受けていない。権力も地位もない。一无所有(何もない)だ。」とも言っている。確かに、韓寒氏のように、自らの才能によって小説を書いて、巨万の富と自由を得たり、あるいは動画冒頭の、成功した企業家やエリート官僚のような選ばれた人は、この世代においては、まだまだごく一部の存在である。ただ、象徴とまでは言えないが、80后の気持ちの代弁者、あるいはガス抜き的な存在(氏は、公衆便所という例えを用いていたが・・・)とはいえるのだろう。韓寒氏は、結構、自分の位置づけと言うものを、かなり謙虚かつ客観的に捕らえているようである。

また、キャスター国谷氏の「壁を破っていける世代になれるか?」との質問に対しては、韓寒氏は「既得権益をもたず、今のままの80后でいられるような社会。」になることを願っていると答えている。権力を金に換えようとする傾向が極めて強い中国で、本当にそんな夢みたいな社会を実現できるのだろうか?と、きれいごとにも聞こえるが、あながち嘘でもないのかもしれない。中国もゆっくりとではあるが、変化しているからである。
例えば、今回の鉄道事故で、鉄道局の態度が軟化して遺族への補償を手厚くしたり、事故の原因を調査し始めたりしたのは、やはりネットの力なしには、難しかったと思われる。選挙がない中国は、国民が直接政治に口出しできないし、マスメディアも言論統制がひかれている。しかし、人民(特に若い人)は、マスメディアの言うことなど、もとから信じていないし、ネット内で自分達の意見を発信し続けている。ネットだけで、根本的にこの国を変えるのは無理であるとしても、権力と言うのは、もはやネット言論と言うものを無視できなくなってきているのである。

http://blog.sina.com.cn/twocold
韓寒_新浪博客(ブログ) 

韓寒は、果たして小説家なのか?

ちなみに、以前、日本語教師をしていたときに、クラスで韓寒のことが話題になったことがあり「韓寒は、果たして小説家なのか?」で、結構、中国人の間で、意見がわれていたようである。作家兼レーサーという肩書きであるが、多分、純粋な意味で小説家と呼ぶには、微妙過ぎる存在なのかもしれない。
小説家というよりは、一種の若者のカリスマ、オピニオンリーダー的な側面の方が

90后

ちなみに、80后のあと、90年代生まれは、90后(ジウリンホウ)と呼ばれるが、その考え方や消費行動などは、旧世代の人間には、もはや理解不能ともいわれている。
世代間格差が、日本では考えられないくらい大きいのも中国の特徴である。先進国の3倍速で、世の中を早送りしているような国では、世代間の断絶もそのぶん、大きくなるのは当たり前ということなのだろう。

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