もう一つの中国 中国人就学生について 

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国慶節も終了

先日、うちの中国人講師の一人が、留学の為、日本へと旅立っていった。

うちに来る講師ほ、大抵日本語は問題なく話せるが、それでも、日本に留学する人間というのは、少数派であり、ほとんどは、年頃になったら中国で所帯をもつ人が多い。特に女性の場合は、留学してから中国に戻ってくると、場合によっては、婚期を逃すリスクもあるから、なおさらである。

こういった留学生というのは、まずは日本語学校で一定期間、日本語の習得をした後、日本語のレベルに応じて、行ける大学に編入されるのであるが、中国人が、旅行以外の目的で日本へ行くのは、実はかなり厳しく、財産証明等、とにかく提出しなければならない証書が多く、大変だったようである。

まあ、どこまで続くかわからないが、本人には、がんばっていただきたいものである。

中国人就学生とは?

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台風の接近でたなびく、ぼんぼり

さて、上記のような留学生とは別に、中国には就学生というべつの制度がある。

就学生というのは、留学生と違って、表向きは、技能実習という名のもとに集められてはいるが、ぶっちゃけて言ってしまうと、都合の良い、低賃金外国人出稼ぎ労働者のことである。

彼らは日本へきても、ほとんど、外界と接触することも無く、200-300円/時間といった低賃金で働くだけの毎日を過ごす。最初に、仲介業者への借金を背負っているので、それを返済しつつ、更に貯金をするためには、薄給で長時間労働するしかないのだとか。
また、技能実習とは名ばかりで、単純労働なので、さしたる技能も身につかないし、日本語を習得する時間もないとのことである。

どんなに劣悪な労働環境でもいいから日本で外貨を稼ぎたい中国人と低賃金の労働力に頼らざるを得ない中小企業の思惑が、かろうじて、こういうグレーな雇用市場を形成していたのだろう。

そのあたりは、いろいろネットで検索するとでてくると、いろいろでてくる。
http://dailynk.jp/archives/38483
外国人技能実習生に起こっていることは「現代の奴隷制度」なのか【安田浩一さんに聞く-1-】 | DailyNK Japan(デイリーNKジャパン)

夢の国ではなくなった?日本

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2008年頃 雪の日に撮影

ただ、昨今の円安で、そういったモデルが、機能しなくなっているところもあるようである。

こういった、労使関係というのは、根底には、日中間の賃金格差というのがあったわけで、かつては、日中の単純労働の時間給が、何倍も離れていたので、こういった中国人修学生は、日本人バイトの半分以下の時給でも、3年間、飲まず食わずで苦労して日本で働けば、それなりの賃金をためることができたし、故郷へ帰れば、小商いをするか家を買うくらいのお金を貯めることができた。

逆にそのくらいの経済的メリットがあればこそ、パスポートを取り上げられたり、拘束されるような劣悪な環境に耐えることができたのだともいえる。

そういった意味で、かつて日本は夢の国だったのである。

しかし、この2-3年で状況は変わった。

それ以前からも、中国はインフレで、物価高、賃金高がどんどん進行していたのであるが、ここへ来ての急激な円安によって、中国人労働者の賃金が高騰し、日本の半分くらいの水準に、なってしまったのだ。

例えば、就学生が、日本で時給300円で働いたとしても約15元である。そんな中国のマクドナルドのバイトに毛が生えたくらいで、日本に来るメリットは、ほとんど無いだろう。
つまり、余程、日本に対して思いいれがある人は別だが、多くの低賃金労働者にとって、中国で働いたほうが、早いという感じになっている。あるいは、シンガポールや香港など他の土地の方が、中国語も通じるし、よいだろう。

http://www.recordchina.co.jp/a100620.html
「もう二度と日本では働かない」円安直撃、日本から逃げ出す…:レコードチャイナ

10万元が、翌年に7万元しかないということになると、小さなお金の差に敏感な彼らにとっては、耐えられないだろう。まあ自己責任であるから、しょうがないが、彼らは、小銭のことは考えても、経済の大きな流れことなど、一度も考えた事の無い人たちなので、為替リスクのことなんか、ほとんど頭に無かったのかもしれない。また、仲介業者のほうも、手数料がほしいだけなので、大した説明もしていなかったのであろう。

失踪者も増加

しかも、近年、失踪者が増えているようである。

http://www9.nhk.or.jp/nw9/marugoto/2015/06/0611.html
失踪の4割近く 来日後1年以内に – NHK 特集まるごと

中国人というのは、若い人は特にそうであるが、こらえ性がない。仕事が気に入らなかったら、すぐにやめて、他の仕事を探すし、日本人のように腰をすえて、真面目に働くということはしない。
しかも、彼らは下に行けばいくほど、お金しか価値観の尺度が無く、ちょっとした賃金の格差に敏感なので、1時間、数十円でも高い仕事があると情報がわかれば、たとえ不法滞在になっても、逃げてしまう。

ネット上では「中国人なんか日本に来ていらんので、せいせいする」というような意見も見受けられるが、言われなくとも、彼らは、もう日本には来ないと思う。
この制度自体を見直さない限り、失踪者は減らないだろうし、日本に来る技能研修生も減り続けるだろう。
そして、その代わりとなる底辺労働力が、中国より人件費の低い国になるのか、大学生のブラックバイトと呼ばれる人たちになるのか、それとも職にあぶれた中高年になるのか、刑務所の人たちになるのかはわからないが、社会的弱者になることは間違いがない。

等身大の日本を知る存在として

こういった中国人就学生というのは、第一の目的としては、もちろんお金であるのは間違いないところだが、それでも日本や日本人に対して、特別な思いと持ってくれている人たちであるので、結構、大事である。田舎の出身者が多く、反日的なイメージしか持ってなかったのが、等身大の日本を知ることで対日観が変わることも多いと聞く。

うちの会社にも、講師や客として、元就学生が来ることもあるが、いわゆる大卒のキャリア組とは雰囲気がちょっと違う感じだが、日本語が上手で、気さくでいい人が多い。また、街中でこちらが日本人とみるや「日本の群馬の〇〇ホテルで働いていました。」とか声をかけられたりしたこともあるが、日本人としては結構、うれしいものである。

また、いつだったか、関空で、就学生が中国へ帰るところだったと思うが、日本の見送り側と泣いて別れているのを見かけたことがあるが、ちょっと驚いてしまった。今どき、空港で泣いて別れるという光景は滅多に見られるものではない。

日本で爆買いする中国人も中国であるが、これもまた中国である。

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