ブラック化する日本の労働環境を中国人に伝えるのは結構難しい

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最近、ネットのニュースでブラックバイトという言葉を見かけるようになりましたが、ちょっと違和感のある言葉です。
「所詮バイトなんだから、いやだったら、やめりゃいいやん!そのためのバイトなんだから。」と思いましたが、実際のところ、やめるにやめられないみたいですね。

学生を苦しめる「ブラックバイト」の悲惨|ニュース3面鏡|ダイヤモンド・オンライン

また、最近の大学生は、親の仕送り額が、どんどん減り続けているようで、そういう厳しい日本の経済状況も影響しているのかもしれません。

で、こういった日本の閉塞感やブラック化する労働現場というものを、たまに中国人に話したりするんですが、なかなか理解するのが難しいようです。

写真、中国マクドナルドの動画より

ブラック化する日本の労働環境を中国人に伝えるのは結構難しい

先日も「日本に留学したい」という中国人と話しているときに、自分がそういう状況について、話をしてもピンと来ないようで、逆に「日本人がうらやましい。平均年収400万円(20万元)もあるし、品質の良いモノやサービスに囲まれて、社会福祉も充実していて、外国にも自由に行けるし。」ということを言います。
まあ、確かに事実としてはそうなんだろうけども、ただ、それはあくまで「サービスを受ける側にとっては」ということであって、サービスを提供する側にそれだけの負担がかかっていて、下に行くほど、より労働環境は悪くなることが見えないわけです。

彼らと言うには、中国にいる駐在員みたいな日本人しか見ていないし、表面的にしか日本と言うものを知らないので、そう思うのも無理ないかもしれません。また、日本在住経験者等、もう少し日本の事情に詳しい人でも、所詮、外国人なので、実感として感じることはできないでしょう。
一般的に、ブラック化、過労死、イジメ、のような問題は、中国人にはイメージしにくいのではないかと思います。

ワークライフバランスが健全な中国人の職場

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一方、中国人の仕事環境ですが、彼らにとって、会社というのは、単に給料をもらうだけの場でしかないのであって、とにかく仕事よりも、家族や友人との関係優先です。女性は特にそうです。
このあたりは、本当に徹底しており、例えば、仕事の終了時間が近づくと、いくら急な用事が入っても「約束がありますので」「時間なので」と言って「お先に失礼します(先走了)」といって帰ってしまいます。会社の都合なんか、あまり考えてくれませんし、しかも周囲も、そういう態度に寛容だったりします。(下手をするとこっちが悪者扱いされてしまう)
そういった、一見わがままにも見える彼らの態度に腹を立てたりすることも多いわけですが、実は、彼らのほうがまともなのかもしれません。彼らは、所詮は時間労働者ですから、それに従って、行動しているに過ぎないのです。

もちろん、労働法がそういう風に規定してあるからというのもありますが、その法律を作っているのも中国人なんだから、同じことです。社会のコンセンサスとして、そういうことにしておきましょうと言うことなんだと思います。残業代もしっかりと払われるようですし、中国は、労働者にとって、ゆるい労働環境で、ワークライフバランスは、極めて健全といえるかもしれません。

以前は、そういう環境をして「彼らはいいよなあ」と思いつつも、でも給料安いから、しょうがないという気がしてました。しかし、昨今、中国の都市部の一般サラリーマンの給与は、日本とだんだんと差がなくなりつつあり、金銭的な観点からは説明がつかなくなってます。

(ちなみに、ここで言う中国人というのは、時間、労働力を切り売りする一般職の世界のことであって、もちろん、自分で会社を経営している、あるいはかなり役職が高い人はそんなことは無いです。でもそれは、あるべきリターンが違うので、当たり前の労働観です。)

労働環境がブラック化しようが無い

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仲間との出会いを通じて成長(マック動画より)

また、中国人は、仕事で大きなストレスをうけると、自分で抱え込むより、さっさと他人とシェア(共有)してしまいます。

今は「微信(We Chat)」(中国のLineのようなもので、中国人は、これで連絡をとるのが一般的です)のような最強ツールがあるので、いつでもどこでも、つながれますし、なにか会社の内部で不満があっても、孤立してしまわない気がします。つまり、労働環境がブラック化しようが無いのです。

逆に、日本人というのは、「仕事が上手く回らないのは、自分が悪いのだ。」と、自分に責任の所在を置きがちです。そして、容易に孤独に陥ってしまいます。つまりブラック企業からすれば、こんなに使い勝手のいい労働力はありません。
そういう日本人の気質が、メイドインジャパンの品質を保証しているということでもあるのですが、労働環境的にいえば、あまり健全とはいえないでしょう。

ちなみに、中国でブラック企業というと、逆に消費者にリスクを押し付ける、食品衛生や環境面で問題のある会社という違う意味になってしまいます。これはまた別の意味で問題です。

我々中国人だって、圧力は大きいよ。

自分は、たまに周囲の中国人に「君らはいいね、何もストレスがなくて」というと、当然ながら「我々だって、圧力(ストレス)大きいよ。」という判で押したような返事しか返ってきません。
確かに、彼らは彼らなりにストレスはあるでしょう。中国の物価は、毎年どんどん上がっているし、都心のマンションは、一般人の給与では、既に手が届かない水準に達しています。(深センでも200-300万元(4000-6000万円)位する)彼らのようなホワイトカラー中間層というのが、今の中国社会の中では、一番、ストレスが高いのかもしれません。
しかし、それでもやはり、日本人や日本社会が抱えるストレスとは比べられないような気がするし、はたから見ていると、お気楽な感じがしてしまうのです。

マクドナルド動画 出世篇 (付記)


写真は、すべてマクドナルドの動画からですが、動画には、もちろん誇張はあるものの、全く噓とはいいきれないところもあります。現に、自分の会社の下にあるマクドナルドは、同じようなメンバーが2年、3年と交代せずにやっているみたいですし、成長できるかどうかは別として、雰囲気はよさそうです。

日本では、中国から仕入れたマックチキンナゲットの使用期限切れ鶏肉使用が問題化して、大幅に業績が悪化したようですが、中国では、その後、仕入先を変更したりして、一時、混乱したものの(終日、朝マック状態とか、野菜抜きビックマックとか)、特に大きな落ち込みはないようです。というか、あの事件がきっかけで「本当に牛肉100%使用していたのか!」と逆に見直した?とか、そういう意見もあるようです。
中国の一般の食堂の衛生観念からすれば、マクドナルドとか、大手のファーストフードなど、全然マシということなのかもしれません。
というか、こちらにいると、日本の衛生観念、品質管理というのは、時として厳しすぎ、過剰反応ではないかと思ったりするほどです。

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