中国のマクドナルドの店員が時給200円でも働ける訳

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マクドナルド(麦当劳)店内の動画より

先日、ファーストフード店の労働者たちが「時給1500円デモ」なるものを行ったとかで、すこし話題になってました。
時給1500円デモ、要求水準は高過ぎるのか? (THE PAGE) – Yahoo!ニュース

しかし、ここ中国では、ファーストフードの店員が、デモを起こしたというのは聞いたことがありませんし、そのような様子も見えません。

では、彼らはいったい、いくらくらいで働いているのでしょう?

中国人バイトが、時給200円でも暮らせるわけ

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ビックマックのセット

一般に、マクドナルドをはじめとするファーストフードや、食堂の店員の募集広告を見ていると、大体2400元前後からスタートのようなので、そこから計算すると、以下のようになります。(1ヵ月に6日程度の休みとして計算)
2,400元 ÷ 24日 ÷ 8時間=約12.5元(約237円)

ちなみに、広東省深センは、中国でも最高水準ですので、他の地域であれば、大体時給200円程度と思っていいでしょう。
これではビッグマックのセット23元(約440円)の半分にしかならないし、物価の高い深センでは、生活するのは、一見すると困難なように見えます。でも、彼らを見ていると、特に打ちひしがれて働いている様子も無く、むしろ、嬉々として働いている。

それは何故なのか?

三食昼寝つき 2400元也

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点呼をとっている風景

先ず、こういった飲食店の従業員というのは多くの場合、住まいと食事は込み(「包住」「包飯」)というのが基本だということがあります。つまり無料です。
まあ、食事内容にしたところで、そんなにいいものではないでしょうし、一部屋に4-6人で暮らしてるなんてザラですが、それでも金がかからないということは大きいハズです。しかも、彼らは、基本的にシェアという発想が当たり前なんで、それほど苦でもないようです。
というわけで、下手すると、月給丸々の残すことも可能なわけです。
仮に月給2400元(約4-5万円)とすれば、一年で50万円程度貯金が出来るわけです。
彼らは主に田舎の出身であり、要するに出稼ぎです。
深センで貯めた金は、故郷へ帰れば、何倍もの価値に変わります。
もちろん、深センでは、家や車は買えませんが、彼らは、もともとそんなものを望んでいないし、田舎で家を買う頭金や、小商いをするくらいのお金がたまれば十分なのです。

進むベースアップ

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富士康(FOXCONN,台湾鸿海の子会社)のバスの車体広告。

また物価の上昇に合わせて、こういった店員の給与も、どんどんベースアップが進んでいます。
以前、製造業の社長さんから、深センの工場の人件費が高いので(最低賃金約2,000元)、人件費を下げるために内陸の江西省で工場を立ち上げたところ、翌年、最低賃金が一気に40%くらいアップして、進出した意味がほとんど無かったという話を聞きました。全く中国の人件費の上昇スピードには驚くばかりですが、これでは製造業が撤退するのは無理もありません。
自分が、深センへ来たのが10年前で、その頃は、確か最低賃金が1000元越えるか越えないかくらいでしたので、10年で2倍になっているということになります。
中国11地区で2015年「最低賃金基準」発表–人民網日本語版–人民日報

結局、こういった店員や工員の給与は、先進国と比べるとまだまだ低いものの、彼らの中では、毎年ドンドン上がり続けており、昨日より今日、今日より明日という風に、給料が増えていくのであれば、気持ちが明るくなるのは、当然です。一方、日本のように、物価が上がるのに給与が下がり続けると、将来に対して、明るい展望を持てと言われても難しいでしょう。

貧乏だが貧困ではない

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以上のようなことに加えて、さらに彼らが強いと思うのは、その共同体同士の横のつながりが非常に強いということです。彼らには、数字には表れないセーフティネットのようなものがあるような気がします。
あくまでも自分の想像ですが、共同生活を営む中で、連帯意識のようなものが生じ、誰かに何かあったときに、別の人間が助けてくれるという安心感のようなものが、根底にあるんじゃないかと思うのです。
また、一般に、どこの店でも人が余っていて、日本と同規模の職場であれば、2-3倍の人数がいて、いつもワイワイしゃべくりながら、やっている印象が有ります。(時には客そっちのけで)
つまり、貧乏ではあるければ、いわゆる貧困には当たらないと思うわけです。
一方、日本の場合、そういったセーフティネットのようなものが、ドンドン破壊され、ブラック化という言葉に象徴されるように、会社に、人員的ん、時間的に全くゆとりが無く、むき出しの資本主義の中にさらされているような気がしてなりません。

成長できる職場をアピールする中国のマクドナルド

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中国マクドナルド1号店(深圳東門)

中国のマクドナルド(麦当劳)に入ると、大きなモニターがあって、いつもマクドナルドオリジナルの動画が流されているのをみかけるかもしれません。それは商品の広告ではなく、大抵、人材募集の伏線となるイメージ広告っぽいです。
例えば、あるマクドナルドの一人ひとりの店員にスポットをあて、以前は、ちょっと遊び人で日々無為に過ごすだけの毎日であったが、マクドナルドの店員になってからは、人生に目標を持って過ごせるようになったみたいな、いわゆる一種のサクセスストーリーっぽいドラマ仕立てになっています。

以下、店内の動画の一部です。笑顔が溢れています。

マクドナルド動画 出世篇

マクドナルド動画 仲間といっしょ篇

マクドナルド動画 ビデオレター望郷篇


mac-zhaopin (3) 故郷にいる両親からのビデオレターを見るマクドナルドの店員。
mac-zhaopin (4)「風邪ひいいてないだろうね。そっちの暮らしはどうだい?」
mac-zhaopin (6) 「大丈夫、心配しないで!あたい、マクドナルドで働いているから。」

以下も動画のごく一部ですが、ステージ(舞台)という言葉を使用したり、あたかもマクドナルドに入れば、皆と一緒に成長できると言わんがばかりの作りです。
麦当劳 我最好的职业-PPS爱频道

店内のアルバイト募集コーナー

常時人手不足なのか、マクドナルド各店舗で、結構、こういう人材募集の受付台をみかけます。
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http://www.mcdonalds.com.cn/cn/ch/index.html
麦当劳中国(中国マクドナルド)

中国の募集広告いろいろ

以下、街中で見かけた、店舗の募集広告を少し紹介してみます。
最近では、産業が製造業からサービス業にシフトしているためか、わざわざ郊外の工場で働かなくとも、そこらの店で、お手軽にバイトするような職業が溢れています。
許留山
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香港スイーツ「許留山」の募集広告
皆で、ワイワイやりながら働けるような環境のイメージ写真。
また働き続けると、アルバイト(兼职)から訓練組長、サービス員、見習いマネージャー、副店長、店長と、ドンドン昇格していけるかのようなイメージグラフもある。
実際どうかはわからないが、役職が上がると同時に、制服が変わり、給与も上がれば、モチベーションも上がるのは当然である。

COCO 
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台湾のミルクティー屋の募集広告。
招聘(募集)」の「聘」の字を大きくして募集、世界に大きく羽ばたくイメージを打ち出している。職位による給与が具体的に書いてある。
储备干部 3000元以上/店長4000元以上/組長3300元以上/調合員2900元以上/服務員2700元以上

ピザ屋
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ドリアンピザ(食べたこと無いが)を売っている店。
2900-4100元(包住:宿舎アリ)学歴、高校以上、年齢18-25歳、男女不問、五感が適性で、悪い嗜好が無いこと。社会保険あり、月四日休み

ビリヤード店
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こうやって、見ていくと大体、似たり寄ったりという印象。
サービス員、皿洗い程度の仕事が2500-2700元(約5万円)主任で3500元(7万円)店長になると4000-5000元(8-10万円)という感じだろうか。
休みは、大体週1回か、あるいは月3日とか、彼らの働き方は、日本の労働環境のようにきつくないので、そのくらいでも、問題ないようだ。

香港側の募集広告

香港の方は、ちょうど日本と同様に学生のアルバイトという感じで、住み込みが基本の中国大陸とは意味合いが違ってきます。

香港の吉野家
香港側の広告は、漫画仕立て。
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香港のモスバーガー
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香港のモスバーガーのチラシ。
時給40HKD(約600円)程度。モスバーガーセット50HKD(約750円)にも達しません。香港も格差が大きい場所です。

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