健康はお金で買えるか? 中国の医療について

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中国に初めて来て驚いたもののひとつが、病院の広告である。

エレベーターの中やバスの車体広告等、いろいろなところで見かけるが、美容整形とかではなく、ごく普通の病院が、広告をだすというのは、やはり違和感がある。
広告を打つということは、つまり各病院が、独自で営利を出す必要があるということだろうが、それって医療行為が単なるサービスの提供、つまりビジネスに堕する危険性はないのだろうか?

深センのバスの車体広告(写真)

健康はお金で買うものか?

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要するに、中国の社会保障制度が不十分であるから、そういう私企業のようなことになってしまうのだろうが、お金儲け(営利)という基準が入ってくると、倫理的によろしくないことがおこるというのが、世の常である。
利益を追求するあまり手抜きをするのは、中国企業の常套手段であるが、人間の生命を扱う医療でそれをやられたら、たまったものではない。自分は、幸か不幸か、中国の病院で、何か病気を見てもらった経験はないが、毎回受診している、健康診断のあのズサンさからすれば、十分にありうることだと思っている。

最近、中国の富裕層が、わざわざツアーを組んでまで、日本に健康診断を受診しにくるとのことであるが、やはり中国人自身が、中国の医療に対して、根本的に不信感があるからなのだろう。中国人のことは、中国人自身が一番よくわかっているからこそ、あえて日本ということなのかもしれない。

また、簡単な病気であれば、どの病院でも受けられる処方は似たようなものだろうが、こと重大な病気になると受けられる治療(サービス)は金次第ということにもなりかねない。人道的治療ではなく単なるサービスだから、お金に見合った対価としてサービスが提供されると考えるのが自然だからである。

中国では実際、生死に関わる重大な病気になると、莫大な治療費の負担で、一家が破産することもあるとよく聞く。また、家族が貧困に陥るのを恐れて、しかるべき治療も受けられず死んしまうこともあるようだ。
「私を死なせて」中国の母親が漏らす-がん治療で破産危機も – Bloomberg

美は金で買う? 整形外科の広告

ちなみに、整形外科の広告は、街のあちこちでかなり頻繁に見かける。中国人女性の美に対するあくなき追求は、留まるところをしらないようだ。
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医療というよりは、ほとんどビジネスの世界で、項目別に、金額も具体的に記している。
〇韓式隆鼻(韓国式鼻)4,800元(約96,000円)
〇双眼皮(二重まぶた)1,800元(約36,000円)
〇瘦脸针(小顔にする針?)1,800元(約36,000円)
〇脱毛 380元(760円)

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これは、バス停広告で整形外科の本場、韓国式を売りにしているようだ。【ホームページ】
やはり整形の本場は韓国という意識があるのかもしれない。ただ、個人的にいえば、韓国の美人というのは、全部同じように見えてしまうのだが・・・・。
中国人にとって、美容整形は韓国、高度医療は日本へ、という住み分けになっているのかもしれない。

日本の社会保険について

一方の日本であるが、中国に比べると、随分恵まれていると思う。

例えば、ちょっと前に、こんなことがあった。

日本にいる母親が、半年前に手首を骨折して、手術をして二週間ほど入院していたのだが、聞けばその費用が、たった数万円だったとのこと。電話で状況を聞いたときは、保険はあっても入院をしているので十数万円はかかるだろうと思っていたが、正直、驚いた。まあ後期高齢者なので、負担が低いのだろうが、日本は、老人にとっては優しい国であると思う。

道理で、日本人の平均寿命が世界一になるわけである。日本は、空気や水がいいし、生活環境がいいということに加え、こういった国民皆保険制度が整っているということが、やはり大きいだろう。

しかし、現在の日本人(特に高齢者)は、かなり恵まれていると思うが、日本も、もしかすると、そういう時代が終わってしまうかもしれない事態に直面しているようである。

少子高齢化もあるが、問題なのは、やはりTPPであろう。TPPというのは、一般には関税や食料自給率等、農業分野の問題として論じられているが、実は農業だけの問題ではなく、医療、年金、社会保障など日本の主権とからんだ非常に大事な問題で、一旦、開放されると、今までの保険のあり方が、どんどん変わって、一般庶民が気軽に病院で受診できるかどうかわかならない日が来るかもしれないようである。

その先例が既に韓国にある。
http://www.tokachi.co.jp/feature/201306/20130611-0015843.php
【TPPの先例は今 米韓FTA韓国リポート】(5)医療|WEB TOKACHI-十勝毎日新聞

混合医療によって、国民皆保険制度が崩壊すれば、医療格差というものが生じるのは道理である。アメリカの保険会社が虎視眈々と、日本の医療市場を狙っているようだが、アメリカ型の医療保険によって、重大な病気になると医療費が莫大にかかり家計を直撃して、一気に貧困に陥ってしまうケースがあとをたたないといわれている。

要するにグローバル化、ビジネス化の流れの一環なんだろうが、医療や教育といった分野は、元来、そういった発想には馴染まないはずである。こういった分野に、ビジネス的な発想を持ち込みスピード、効率を重視するようになってくると、おかしな具合になってくる。

なぜなら、営利をあげるための判断とその人の成長や健康の為の判断というのは、180度逆になることも多いからである。

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