どうして、そんなに謝りますか? 中国人の面子とは

以前、深センで中国系の会社で働いていたとき、以下のような出来事があった。

仕事上で、客先からクレームが入ったときのこと、直接の非は、うちの会社にあるわけではないのであるが、不可抗力で、先方に迷惑をかけてしまったことがあった。とりあえず、先方の担当者に謝罪の電話を入れておいたのであるが、それを隣りで見ていた中国人老板(社長)にとって、あまりお気に召さなかったらしい。以下がそのやり取り

どうして、そんなに謝りますか? 

「〇さん(私のこと)、どうして、そんなに謝りますか?」
「駄目ですか?」(青字:私)
「いえ、駄目ではないですが、だって、今回の件はうちが悪いわけではないでしょう。 予測できないことが起こってしまったんですから・・・」
「ええ、そうですね。でも私だって別に、うちだけが悪いとは思っていませんよ。」
「ならば、そんなに謝らなくてもいいんじゃないですか。」
「直接の責任はうちにはないですが、結果的にお客さんに不利益を与えているんだからしょうがないでしょう。」
「でも、あまりうちが謝りすぎると、こちらが不利になりませんか?」
「ならないですよ。」
「えっ、どうして?」
「どうしてって・・・・・」
「だって、こちらに責任があることを認めたことになってしまうでしょう。」
「いや、この場合、問題は責任がどこにあるかということではなくて・・・お客さんは、こういうとき、とりあえず謝罪の言葉を聴きたいのであって」
「はあ。」
「日本では謝罪するのも、一種の文化というか・・・」
「・・」

なんとなく腑に落ちないようであったが、何とか一応納得してもらったようである。断っておくと、これでもこのときの社長は、非常に日本語の流暢な人であり、理屈さえわかれば納得してくれるという点では、合理的で話しのわかる中国人のほうである。しかし、それでもこういうすれ違いがしょちゅう出てくる。

日中間 責任の捉え方の違い

ひとつは、日中において責任の所在の捕らえ方が違うと言うことだと思う。
日本人というのは、原因はともかく、すべての結果に対して責任を持つ(結果責任)というのが、当たり前であるが彼らは違う。中国人というのは、とりあえず、自分たちが努力した結果、その後、不可抗力で何か問題が生じても、それは不運ではあるが自分たちの責任ではないといった考え方(努力責任)をとる。

例えば中国人が遅刻した時「今日はバスが渋滞に巻き込まれて、身動きが取れなかったので、もうどうしようもなかったですよ。」というような言い訳をよくする。自分たちは精一杯努力をしたのだから、不可抗力で起こってしまった事故はしょうがない(罪の意識ゼロ)という論理である。
逆に、簡単に謝ってしまうと、こちらの非を認めたことになってしまい、今後の関係で不利になってしまうということである。日本人からすると、無責任にも写る言い草であるが・・・・

中国人の面子

もうひとつは、中国人の言うところの、いわゆる「面子(ミェンズ)」の問題であろう。面子というのは、少し日本人には、理解しにくい概念だと思う。日本にも「メンツ」がたたないという言葉があるが、ちょっとニュアンスが違うような気がする。日本の場合、体裁という意味合いが強い感じがする。また、英語の「プライド」というものに近いが、それとも少しずれがあるだろう。

中国人は、日本人に比較して、個人が独特の自尊心と言うものを持っており、謙遜を旨とする日本人からすれば過剰に自信満々で、不遜な態度にも見えてしまうところがある。決して、自分の悪いことを言おうともしないし、履歴書にはいかに自分が能力が高い人間であるかということがひたすら書かれている。
また、有名な話であるが、「的不起(ごめんなさい)」という言葉を中国人から聞くのは、ほとんど無いといっていいだろう。謝罪という行為に関して言えば、要は、中国が「謝るが負け」なのに対し、日本は「謝るが勝ち」と言えるかもしれない。中国人のほうから見ると、日本人は、あまりにも簡単に「すみません」という謝罪の言葉を連発するので、卑屈すぎる印象を与えるようである。

また、例えば逆に、自分の中国人の部下が、仕事上でミスをしたとして、自分が「どうして、こういう結果になったのか?」と聞くと、多分、彼らは色々な言い訳をすると思う。決して、間違いを間違いと認めない人もいるかと思うし、多分素直に謝ることは、無いのではないだろうか。しかし、こういうとき無理に謝罪の言葉を引き出そうとしてはいけない。彼らは、謝罪の言葉を出さないからと言って、自分に責があることを認識していないわけではないからだ。逆に認識しているからこそ、頑なになるということもある。ましてや、他人の面前で、叱責すると言うのは最悪である。

それから、日本人はよく、説教のように感情に訴えかける手法をとるが、多分、彼らには何のことかさっぱりわからないのではないかと思うし、そういった局面でもポカーンとして聞いているかもしれない。
また日本人のように、人の話に対して、うなずくという習慣があまり無いので注意が必要である。その態度をみて「これだけ、有難いお説教をしてやっているのに、何なんだ君のその態度はーーー」と逆上して、ますますボルテージが上がってしまい、感情をぶつけたりしたら、もう最悪と言ってもいいだろう。

彼らの思考回路というのは、日本人が思う以上に論理的で、かつ日本人ほど複雑ではない。従って、冷静に、理詰めでモノを言えばわかってくれるはずである。

また、断っておくと、上記のことは、あまり日本人に慣れていない一般的な中国人のことであって、日系企業に勤務している中国人の場合は、さすがに、そういうことはないだろうし、なければそれに越したことはない。

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