NHKスペシャル 人事も経理も中国へ

グローバル化によって、製造部門だけではなく、経理のような企業の間接部門にまで、アウトソーシングの流れが起こっている。
いささか古いかもしれないが、NHKスペシャルでこんなものがあったので、紹介してみよう。

写真は、大連のコールセンターにて(動画より)

NHKスペシャル 人事も経理も中国へ


NHK「人事も経理も中国へ」(人事、会计聚集地——中国 优酷)

 これは、2007年9月の話であるが、状況は今もそんなに変わり無いのではないか、というか、このところの超円高で、ますます状況は進行しているかもしれない。要はグローバル化の一環として、製造部門だけではなく、こういったホワイトカラーにまで外注の流れが起こってますよと言うことなのであろうが、まあマニュアル化できる部分に関しては、ある程度こういう流れは起こることは、仕方ないだろう。人件費が5分の1、しかも日本語ペラペラで、仕事も日本の若者より熱心な人材が、隣国にいる。外注するなというほうが無理だ。

 ビデオの中で、MR総務と呼ばれる、総務一筋の男性が「強みは何か?」と聞かれて絶句していたが、彼に限らず、すらすら答えられる日本のサラリーマンは少ないのではないだろうか。ただ、MR総務の側からすれば、別に自分自身は、まじめに仕事を続けてきただけで「何でいまさら?」と言う感じなのであろうが、日本を取り巻く外部環境が変わったのであるから、それを嘆いてみてもしょうがないし、自分自身を変えるしかないだろう。

人、もの、金が国境を越えて移動するグローバル時代の今日「俺は日本にいるから、隣の国のことなんか関係ないもんねー」と言うわけにはいかなくなっているのだ。公務員や独占的に守られている業界であればともかく、製造業はもちろん、サービス業であれ、時給100円(大卒なら200-300円)で黙々と仕事をこなす若者がいる国が隣にあるという認識だけでも持っておくべきだろう。

グローバル化と日本の企業風土

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苦悩するMR総務(動画より)

 しかし、動画を見て、個人的には、やっぱり日本の会社っていいなあと少し思った。 責任者から責められるMR総務を「○○さんは、仕事について何でも良く知ってますから・・」とかばう女性社員。また「今まで、お世話になりました。」と言い残して退社していく長年勤務した社員。会社がひとつの共同体というか、家族的なところさえ感じさせる。こういった日本的な企業風土が、グローバル化によって崩壊していくというのは、確かに切ない感じがする。
 また、細かいところであるが、それぞれの机に、敷居が無いというのも、何か日本的な感じがした。(中国のオフィスでは、だいたい、隣の人間の顔だけが見えるくらいの高さで仕切られている。)

会社は、純粋に働く場所

nhk-dalian-3 中国の職場 いかにもな感じ(動画より)

 一方、中国では、会社というのは、純粋に働くための場所で、それ以上でも以下でもない。退社時間が来たら「先走了(お先に)」といって、さっさと帰るし、家庭で何かあれば、仕事が忙しかろうが、平気で休暇をとる。どうしても、会社の業務を主に考える日本人では、考えられないほどの潔さである。
ただ、それは不真面目ということではなく、ライフスタイルの違いにすぎない。ビデオの中で、大連から派遣されている中国人女性が、夜も自宅でマニュアルつくりにいそしんでいたが、中国人というのは、会社を定時に帰る事は帰るが、帰ってからも自己投資的な活動をしている人が多い気がする。

本来、あるべきものがないというしんどさ

 また、一日が「おはようございます。」という挨拶から始まる日本では当たり前のことも、中国では当たり前ではない。そもそも中国人は「おはようございます。」「宜しくお願いします。」という挨拶を、そんなにしない。彼らはかなり実際的な民族で、形式的は挨拶を嫌う傾向にある。だから親しい間で挨拶をしすぎると「何を今更」と、かえって水臭く感じるようなのだ。実は、日本人にとっては、これが結構つらいところで、日本人的には何かが足りないような気がしてしょうがないのである。
本来あるべきものがないというのは、日本人としては、かなり辛いものがあるし、やはり挨拶は、日本人にとっての潤滑油なんだなと思う。

大連について

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ちなみに動画中に出ていた大連については、自分はまだ行ったことがないのであるが、日本語学習者が多く、また、賃金も他の沿海部大都市に比較するとかなり安いので(中国の賃金は、だいたい南高北低、東高西低。)で、日系企業のバックオフィスとして利用される下地が十分に整っているのであろう。


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中国東北地方は、やはり日本語学習者にとっては本場と言うこともあり、中国人の大体が、黒龍江省、遼寧省などの日本語学校で勉強する。中でも大連は、地理的も日本に近く、歴史的にも日本統治も長かったこともあって、中国には珍しく親日的な空気もあり、自治体自体が日系企業を誘致することに積極的なので、日本語人材が多いのであろう。

大連の日本語学校にて(動画より)

大連市 – Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%80%A3%E5%B8%82

 ただ、上記の動画の例は、日本側は仕事を発注する立場にあり、中国側は下請けに過ぎず、日本側が業務をコントロールしているのであるから、まだ状況はまだマシかもしれない。しかし、今後、本格的に中国側が日本企業を買収し始めたら、上司が中国人になり、管理も中国式、(下手すれば会議は中国語でとか)というような環境になってしまうかもしれない。

先日も、ハイアールが三洋の白物家電部門を買収するといったニュースもあったし、そんなに非現実的な話とも思えない。そうなれば、環境は劇的に変化するし、MR総務の苦悩どころではなくなってしまうのではないだろうか。

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