クレヨンしんちゃん訴訟にみる中国の著作権・商標権について

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偽物と言っても前回紹介したような、たわいの無いモノであれば、別に構わないのでしょうが、実際に、本家に無断で使用して、莫大な利益を上げ、恩恵に浴しているとなれば話は別です。

日本でも一時、話題になっていたと思いますがクレヨンしんちゃん(蜡笔小新)の訴訟は、まさに、そのような事例でしょう。

クレヨンしんちゃんは誰のものか? 

中国のニセモノ訴訟で有名なクレヨンしんちゃん(蜡笔小新)訴訟ですが、一審で、却下された双葉社が最終的に勝訴したというのは、記憶に新しいところです。

株式会社双葉社 | 中国における『クレヨンしんちゃん』訴訟の勝訴判決について

えっ!クレヨンしんちゃんが… 商標は誰のもの?- NHK 週刊 ニュース深読み このサイト、非常に分かりやすい

とりあえずは、原告(双葉社)の主張がほぼ認められた形です。本来、これが当たり前の判決なんでしょうが、一審で却下されたときは「ああやっぱりパクッたもの勝ちなんだな」という印象だったので、よく勝訴したなあと思います。

最終的には、原告(双葉社)に対し、被告(クレヨンしんちゃん食品)が、30万元(当時で400万円程度)支払ったようですが、はっきり言って、この会社が、しんちゃんのキャラクターを使用して直接的、間接的に得た利益に比べれば、微々たる額だと思います。ただ額の問題ではなく、違法行為を認めさせた異議は大きいと思います。

一審で却下されたのは、中国の会社が、先に商標を提出していたのに、双葉社がそれに対して、5年も異議を申し立てしなかったという事実にあったようです。
「著作権」のほうは、その作品を作った人の権利で、作った時点で成立するのに対して、商標は「先願主義」で先に提出してしまったものが、権利をもつという前提があるからなんですね。
中国は、パクリ、ニセモノというイメージはあると思いますが、国の方針としては全く逆で、戦略的に知的財産権を重視し、特許や商標といった分野に力を入れつつあります。
中国<国際知的財産研究所<伊東国際特許事務所

その後ですが、この会社は、しんちゃんキャラクターは使用しなくなりましたが、会社名は「クレヨンしんちゃん(蜡笔小新)」有限公司のままのようです。

http://www.lbxx.cn/ 蜡笔小新(福建)食品工业有限公司
蝋筆小新食品(01262)サーチナ・ファイナンス 

利益がほとんど出てないようです。訴訟の結果とは直接には関係なさそうですが、もともと会社自体の体質にも問題があるのかもしれません。

クレヨンしんちゃん(蜡笔小新)動画 中国語(普通話)


【原版国语】蜡笔小新第一部28集—优酷网 原題 ハイグレ水着が欲しいゾ(クレヨンしんちゃん)

原作者の方が、ちょっと前にお亡くなりになったということですが、クレヨンしんちゃん(蜡笔小新)は、中国でも非常に高い人気を誇っており、こんな感じで中国語に吹替えられて、動画サイトに大量にアップされています。四川弁などの方言バージョンもあります。
ちびまる子ちゃん(樱桃小丸子)」なんかもそうですが、中国人は、こういった家族モノが大好きですが、親子のつながりが、日本人よりも密接であると感じます。
中国語もあまり難しくなく、中国語の勉強にもいいかもしれないです。(ユーチューブにもアップされています。)

コピー天国 中国とどう向き合うか? 偽ホンダ(HONGDA)訴訟について

honda
また、クレヨンしんちゃん訴訟より以前ですが、こんな訴訟がありました。

中国の二輪車メーカー「重慶力帆」が、「HONDA(轟達)」というバイクを売っていたところ、本家のHONDAが、2004年末に、中国の裁判所に商標権侵害で中国の会社を訴え、裁判所は中国企業に対して、HONGDAの使用差し止めと147万元(約1800万円)の賠償金支払いを命じたという事例。

クレヨンしんちゃん訴訟をブランド名の「先取り」型の侵害とすれば、こちらはブランド名になりすます「なりすまし」型と言えます。かつては、こちらのタイプの方が多かったようです。

企業倫理観が希薄で、儲かってナンボの中国では、どうしても、ばっくれてブランド名を使用して、見つかった後で罰金を払ったほうが早い、という発想になりがちです。また消費者の方も、ホンダのバイクは高くて買えないとなれば、安かろう悪かろうに流れてしまうというのも無理も無いところでしょう。

裁判所と正規のメーカーがいくら是正しても、人民の意識自体が変わらなければ、次から次へとこういうことが起こってくるので、きりが無いように思います。そういう意味では、裁判と言うのは、よほど権利やブランドイメージを侵害されている場合に一定程度歯止めをかけるという、その程度の意味なのかなという気もします。

ただ、さすがにホンダはグローバル企業だけあって、こういったコピーバイクを製造する会社の対応には慣れていたようです。
【法を生かす】事例研究〜中国でコピーバイクに勝ったホンダ、裏には本田宗一郎の思想 – ビジネススタイル – nikkei BPnet

また、ホンダは、逆に、技術力のあるパクリメーカーを買収して、100パーセント自社製品として日本に逆輸入していたとのことですね。中国のパクリに対しては、時には、大胆な発想の転換も必要だということです。

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