廟街ナイトマーケットを歩く
上海街から、その後、ナイトマーケットで有名な廟街(ミウガイ)に入ります。ある意味、もっとも香港らしい場所です。
天后廟
まず廟街の名前の由来となっている天后廟。海の神様「天后」を祭っているということで、この辺りは、昔は漁村だったとのこと。その後、どんどん海側が埋め立てられてしまい、ここが中心街になってしまったとのことです。緑の屋根が印象的です。
門の外側から、中を見たところ。例の長い蚊取り線香みたいなのが、いっぱいぶら下がっている。
その天后廟前の公園では、男たちが将棋を指したり、何をするとでもない人々がただぼんやりと時間を過ごしており、まったりとした空気が流れる。
このおばさんは、廟街の脇で、ひたすら何かを燃やしつづけている。
この天后廟を中心とする一帯が、いわゆるナイトマーケット(夜市)で有名な廟街(ミウガイ)
天后廟の北側
まず天后廟のすぐ北側のアリア。午後五時を回ったくらいであったが、すでに夜市のテントの仕込みが始まりかけている。
「艶陽天歌座」広東語のムード歌謡っぽいカラオケ音が外にも漏れてきています。もうすぐ、日が沈み、これから、徐々にボルテージがあがっていきそうです。
その後ろに「耶稣在庙街(イエスは廟街に在り)」という看板が見えます。道教寺院の向かいに、こういった耶稣教(キリスト教)の教会?があったりするのが香港の面白いところです。宗教が自然な形で日常に溶け込んでます。
表に本日の出演の歌手の名前が紹介されていたりする。あまりにもディープすぎて、外国人は近寄れません。
茶餐厅の時に紹介した「美都餐室」もこの一角にあります。廟街の通り沿いに面しているので、すぐにわかるはず。
入り口から撮影。しかし、いつ行っても、一階に誰もいないのであるが・・・
廟街北側 グーグルストリートビューだとこんな感じ
天后廟の前の公園や美都餐室、ムード歌謡カラオケ店などが見えます。ビューでは、公園の中までは入れないようです。
占いのメッカでもある廟街
宗教、信仰とくれば、運命。
廟街は、占いの街としても、もちろん有名です。
廟街の前の公園沿いに占いのブースが立ち並ぶ一角があります。
風水をはじめとして、いろいろな占いがあるみたいですね。
個人的には、占いというものに全く、興味はなかったですし、馬鹿にすらしてましたが、最近、他人が運勢というものに、拠り所を求めようとする気持ちが、なんとなくは理解できるようになってきました。(でも、自分から占いを受けようとする気持ちはありませんが・・・)
これも年のせいかもしれません。人生、自分の思い通りにはならないことのほうが、多いですから。あと、茶餐厅なんかに行くと、店内に神棚が飾ってあったりしますが、商売人が神頼みをするというのは、自分も小商いを始めるようになってから、何とはなしにわかるようにはなりました。
男人街といわれるわけ
また、廟街は別名、男人街といわれますが、それはこの辺りを、少し歩けばわかるでしょう。
お馴染み大人のおもちゃ売り。鼻歌を歌いながら、テントの組立てに余念がありません。まあ鼻歌でも歌いながらでもないとやってられんでしょう。
しかし、卑しくも、神様の鎮座する真正面に、大人のおもちゃ屋が並んでいるというのは、いかがなものか?
信仰と性。あまりにテーマが深すぎてわからなんが、なんとなく深いところでつながっている気がしないでもない。
道教寺院、カトリック、屋台、大人のおもちゃ屋、そして占い。一見すると、全く相容れないものが共存しているこの混沌とした空間。香港の懐は深いです。
ちなみに大人のおもちゃ屋ですが、中国では結構、商店の一角に普通に見かけるし、市民権を得ているみたいです。というか、中国では、こういったおもちゃの類というのは、保健衛生の類と考えられているようですね。
続いてこちら、単なるストッキング屋と思いきや、もちろんそうではなく、マニアックな大人の衣装屋みたいです。
廟街の門が見えてきました。ここをくぐると佐敦方面までずっとナイトマーケットが続く、いわゆる観光ゾーンです。また食に関しても、海鮮屋、エスニック料理、中華となんでもあり。
そうこうしている間に、テントの準備が着々と進んでいます。この街が本領を発揮するのはこれからです。
夜のお仕事 ご出勤の図
ミニスカートを穿いたいかにも商売風な女たちが闊歩していきます。今年の冬は暖かいとはいえ、1月でこの格好ですから、さすがに目立ちます。
その後、この集団(フィリピン人?)は通りの端の方に立ちんぼ。鴨が引っかかるのを待ちます。ものめずらしそうに、前を通ると、すかさず「おいでおいで」されます。
しかし、こんな露骨に商売していても、大丈夫というのは、やはり一種の解放区というべきかもしれません。どうりで男人街であるというわけです。また、ちなみに中国大陸からも出稼ぎの為?か立ちんぼがいて、夜市の脇にぽつんと立っていて、男が一人で歩いていると、色目を使ってきたりします。
というわけで、こんな感じの怪しいカップルができてしまいます。
その後、ネイザン道へ。お馴染みポスターですが、以前に比べると、随分と垢抜けた感じになった気がしてなりませんが、気のせいかな。
香港の路上書店、地元の新聞はじめ、雑誌、漫画から、いわゆる写真集まで、ネット全盛のご時勢に、こんなアナログなもの誰が買うのか知りませんが・・・
駄目ですね。ここにいると、どうも下世話な方向に目が行ってしまっていけません。
裕華国貨
夜までまだ間があるので、暇をつぶすため近くの百貨店に入ってみました。佐敦通りの角にある「裕華国貨」という中華系デパート。昔からありますが、ほとんど入ったことがなかったんです。
正面ホール(地階)は漢方薬やチャイナ服という、いかにも中華な雰囲気。早くも旧正月の準備にかかっています。
店内は、かなり店員客層ともに、かなり落ち着いた中年層という感じ。というか高齢者しかいない。特に店員、おばちゃんばっかりやし。
中華系のアイテムが充実している。お値段も思ったよりは高くない。
台湾食品展開催中。
以下、店内の様子。麺類、漬物、菓子類、など台湾の食品がかなり充実しています。お土産にも、いけそうです。
裕華国貨あたり グーグルビューで覗いてみる
佐敦道あたり
デパートで小1時間暇をつぶすと、いい按配に日が暮れております。
佐敦(ジョーダン)方面から歩いていくと、昼のように明るい四辻に出くわします。
海鮮料理屋が、競い合うようにして、ハロゲン電球?でこうこうと灯りをともします。生きの良さを演出しなければならない海鮮屋にとって、やはり照明は勝負どころなのでしょう。
シャコなどが元気に泳いでます
佐敦カレー、エスニック料理系も
廟街で買う ナイトマーケット
腹が満たされたら、お買い物。
やはり、廟街の一番の醍醐味は、ナイトマーケットでしょう。まさに年中お祭りという感じ。香港観光では、絶対に外せないところではないでしょうか。ただし、あまり夜遅くなると治安面でまずいので、8-9時くらいがいいのかもしれません。
まずは、メインストリート。午後8時すぎ、観光客もかなり集まって、エンジン全開です。英語、普通話、韓国語、たまに日本語も聞こえてきます。
道路標識
裏に回ると、CD屋をはじめ、インド系の雑貨屋とか、雑多な店などが立ち並んでいます。
以下、各テントを個別に(以下、数年前に撮影したものも一部、混じってます)最近は、こういったいかにも観光客用のグッズにくわえて、スマートフォンのカバーとかの店も増えてます。
仏教ソングを流して
どんどん進んでいくと、「桃園大排档」という屋台街が。こういう屋台街に、ふらっと入ってみたいですが、やはり一人では入りにくいです。ちなみに大排档(ダイパイドン)は広東語で屋台の意味です。
天后廟周辺
例の大人のおもちゃ屋や占い屋などのあるところまで戻ってきました。
このあたりの写真を、撮影していたところ、男に「撮るな!」といわれました。「別に、個別の店を取っているんじゃない。全体の雰囲気を撮っている。」といっても納得しないので、そいつの眼の前で、写真を削除しました。(以下のこの周辺の写真は、数年前に撮影したものです。)
ブタちゃん目ざまし時計
大人のおもちゃ屋
夜の占いストリート
この辺では、街頭で、素人がカラオケ大会をやったり、広東オペラを歌ったりしてます。独特の雰囲気があります。
素人カラオケの路地を抜けて大通り沿いに行く途中に、こんなバスケットボール場があったりします。狭い香港の土地を有効活用してます。
ネパールだかチベットだかわかりませんが、骨董品っぽいものが売られています。こういった多国籍風も香港ならでは。
毛沢東グッズも。
廟街の北エリア
この辺りの喧騒は一段とすごい。
道の真ん中の片側がマーケット、もう片側が丸テーブルの露天になっている。さらに道の脇から、例のムード歌謡カラオケがもれてくるので、にぎやかなること、この上ない。
このあたりは、煲仔饭(いわゆる土鍋)がおいしいようだ。でも、ここもちょっと一人で食べられるような雰囲気ではない。外ではなく、店の中で食べればいいのかもしれないが、
ムード歌謡喫茶の出演者
帰途へ
夜の果物市場
疲れてきたので、今回の散歩もそろそろ帰り支度。とりあえず地下鉄の方向をめざします。
廟街エリアを離れると、ぷっつりと人がいなくなって、恐ろしく静かです。
昼間は、ゴーストタウンに見えた果物市場に、日がともり始めてます。
早くも翌朝の準備?屋根が印象的な建物です。
油麻地劇院
ネイザン通り、夜総会(ナイトクラブ)の看板の下を二階バスが、通り過ぎていく。
午後10時。油麻地駅に到着。このまま、中国に戻ります。
油麻地駅とウォータールーロード
何というか、廟街で印象に残るのは、その光の演出振りでしょうか。
海鮮屋の圧倒的な電飾もそうだし、屋台街の蛍光灯やごっつい裸電球なんかもそう。あたかも人生の光と影を浮かび上がらせるようなそんな幻想的雰囲気すらあります。
一種の劇場空間とでもいうべき、この空間に身をおくと、何か夢を見ているような気にさせられます。そもそも香港自体が劇場都市なわけですが、ここはその最たる場所である気がします。
王家衛の世界
王家衛という映画監督がいて、こういう蛍光灯の光などをたくみに使ってましたが、この辺りの風景がモチーフとしてあるというのは、分かる気がしました。
墮落天使 Fallen Angels 1995 – YouTube(字幕なし)
主演:黎明 李嘉欣 金城武 杨采妮 莫文蔚 导演:王家衛
http://v.pptv.com/show/flskogpw4B6Bic2c.html(こちらは中文字幕あり)
王家衛の映画の中ではわかりやすいほうです。「恋する惑星」もそうでしたが、屈折した男女関係がよくでてきます。
というわけで、旧正月が近づいてきました。今年は円安ということで、例年にも増して大量の中国人が日本に来ると思います。
廟街 周辺マップ
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