日本語教師日記 Ⅰ 日本の○○について、どう思いますか? 

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中国で抜群の知名度を誇る 酒井法子(ジゥジンファーズ)

国慶節期間中は、街角のそこかしこに、マッチ売りの少女ならぬ、国旗売りの少女が立っていた。買ってみようかと思ったが、昨年の北京オリンピックの時に買ったのでやめた。それにしても中国人というのは、雨が降ったら傘売りが、母の日にはカーネーション売りがというように、節操がない。

まあそれはともかく、わけあって、しばらく前から、日本語教師の仕事をしている。いつか、暇ができたときにでも日本語教師でもやってみたいなあと漠然と思っていたのであるが幸か不幸か(たぶん、不幸)、案外早くその機会はやってきた。知り合いのツテで、ある民間の日本語学校で日本人のアルバイト講師を探しているとのことだった。

反応がストレートな中国人学生

日本語を勉強しようとする学生の目的は、大きく分けると以下の三つあるように思う。

○日系企業への就職などキャリアアップのため。
○日本のアニメやドラマなどに興味を持って。
日本人クラブ勤務か、日本人彼氏と同棲、結婚

ほとんどの場合は、以上三点に集約されるような気がする。例えば自分の担当しているあるクラスでは、アニメ好きで、フィギュアを収集するのが趣味のお宅青年W君と、日系企業勤務の経験者でキャリアアップのために一級取得を目指すXさん、そして日本人クラブ勤務のUさんという、およそ日常生活では接点がないような人たちが、席を並べているのであるが、日本語という共通点だけで、これが意外と和気藹々とまとまっているから不思議である。

生徒の気質は、色々である。日本人と同じように、真面目な生徒もいれば、出鱈目な生徒もいる。クラスによっては、携帯電話ばっかりいじくったり、隣り同士くっちゃべったり、ファッション雑誌をぺらぺら眺めたりしているだけで、「この人は、いったい何をしにきてるんかな。」と思うような強者もいるが、そういう奴は、早々に脱落していくのが一般である。したがって、生徒指導といった面倒なことはやらなくて済むのかもしれない。

まあ、しかし、日本人生徒との比較でいえば、反応が、ストレートということに尽きるのではないだろうか。面白いときは、のりのりといった感じの反面、退屈なときは、教師の目の前でも大あくびをしたりする生徒もいるし(退屈のバロメーターとして見るのはいいかもしれないが)わからないときは、はっきりと「いまの説明では、全然、わかりません。」と言う憎たらしい生徒もいる。
この点、授業が面白かろうが、つまらなかろうが、はっきりとした意見を言わない(いってくれない)日本の生徒と違ってむかつくことも多々あるが、そういうストレートな物言いに慣れてくると、反応がわかりやすいので、かえって扱いやすいともいえる。
また、皆、非常に元気がいい。休み時間などは、日本の生徒が一人ひとり、ぽつねんとしているのに比べて、彼女らは、常に、大人数でわいわいがやがや、うるさいことこの上ない。

この仕事をやっていて、面白いことは、やはり生徒に辞書や教科書には載っていないような日本の事情【例えば「女性専用車両」「夫婦同姓」「ホームレス」など】を説明してやったりすることであろうか。
女性が多いので(90パーセント)男女関係の話題などが、受けがいいようである。また、逆に、自分が日頃、中国で感じている疑問、違和感を、彼らにぶつけてみることもある。
「中国人の女の子はどうして腕を組んで道を歩くの?」
「中国人の子供が、ゴミ箱におしっこをしているのは、皆なんとも感じないの?」
等々、たわいのない質問であるが、彼らにとっては当たり前すぎて疑問にも感じなかったことであるらしく、これはこれで新鮮感はあるようである。

もちろん、こんな質問ばっかりしていたら、授業が進まないので、ちゃんとやるべきことはやった上でのことである。ただ、そういうきっちりしたことは、中国人教師がやってくれるので、日本人の自分はやはり、日本人ってこんな感じなんですよという、鏡のような存在であればいいのかなあなんて思っている。

何せ、彼らと言うのは、生で日本人というのに接する機会がないし、例えあったとしても日本人クラブなど、シチュエーションが限定的なので、本当の意味でのごく普通の日本人と話すチャンスが少ないのである。そういう彼らの日本人観に少しでも影響(たぶん、悪影響か?)を与えられればいいのかなと思っている。

日本の○○について、どう思いますか?

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蒼井そら(苍井空/ツァンジンコン) 中国の宅男から「空老师」として、絶大な支持を得ているらしい。

さて、立派なことをごたごたと述べてきたが、生徒と言うのは、難しいことをうだうだ述べていても、全然反応がないくせに、卑俗なことが話題になると俄然身を乗り出してくるから困ったものである。

ある日の授業で「日本の○○について、どう思いますか?」という例文があったので、練習として「日本人男性について、どう思いますか?」 という質問をしてみたところ
その際、最初に返ってきた返事が「やさしい。礼儀正しい。」というもの。
「それだけですか。いいことばかりですね。」と混ぜ返すと、途端に手のひらを返すように
スケベ。冷たい。」ときた。

どうも、こちらのほうが本音のようである。まあ、スケベと言うのは事実、そうなのだろう。悲しいことに、日本の男=世界一スケベというイメージは、かなり定着してしまっているかもしれない。まあ、ネットを通じて日本のアダルトビデオが大量に流通している今日、しょうがないといえばしょうがない。

ちなみにナンバーワンはやはり「バカ」だろう。また 「ミーシ、ミーシ」と言うのも、よく聞くが、これについては、当の中国人に聞いてもわからないという。飯(メシ)がなまったものかと思ったが由来がよくわからない。反日映画もの特有の言葉かもしれない。

「スケベじゃない日本人もいるだろう。」とスケベな自分が主張してみても全く説得力に欠けるのでやめた。しかし「冷たい」というのは、少し聞き捨てならない。ちょっと理由を聞いてみると、

「例えば、日本人の男とけんかをしたときなどに、急に口を利かなくなる。」と言うことであるらしい。なんか些細なことで喧嘩をして、口論に加熱し始めると、日本の男のほうが「もういい」と言って、黙ってしまう。中国の男のように、とことん喧嘩に付き合ってくれないと言うのである。まあ、これなどは、もう目に浮かぶようであるが、そのあたり、日本人の男と付き合っている人間としては非常に不満のようなのである。
彼女らのパターンとしては、とことん口げんかをした後でこそ、すっきりと忘れられるが、途中で黙ってしまわれると、はしごをはずされたような形になって不完全燃焼で終わってしまう感じがするのであろう。

「へー、なるほどね。でも、それは文化、習慣の違いだからしょうがないじゃない。日本の男と付き合っているんだったら、少しは我慢するしかないでしょう。」と混ぜ返すと、「郷に入っては、郷に従え(入郷随俗)」とくる。ああいえばこういう。全く、口の減らない奴らである。

さらに「日本の女性は、こういう時どうするんですか?」と聞くので黒板に図で補足しながら、以下のように説明してみた。「人によります。でも、一般的には、日本の女性も、ぷいっと口をきかなくなる。したがって、両者ともどちらかが、折れるまで冷戦状態に突入する。(この辺りかなり適当)日本の女性は、外側はやさしい(温柔)ですが、本当は非常に怖いです。」と言うと、「へーー」と感心していた。

この点、日本の女性は、酒井法子のように、(今回、化けの皮がはがれたが)きれいで、貞淑というイメージが優先しすぎており男とは別の意味で、誤解されている感じがする。そんな大和撫子のようなものは、とうの昔に絶滅してしまっているのであり、実際はそんなに甘くないんですよと言う現実を、この際、奴らに存分に知らしめてやらなければならない。

しばらくすると、ある生徒が「先生も、彼女と喧嘩した後は、そういう風になりますか?」と言ってきた。ここで個人的な話題に転換されてしまうと、たまったものではない。変なところでぼろを出してしまうと、教師の威厳もあったものではないのである。ここは是が非でも、一般論で収めなくてはならないのである。

「あ、えっと、先生は、けんかなんかしないのでわかりませんよ。じゃあ、李さん、○○ページ、読んでみてくれる?」

「えーー、先生、ずるいです。」「先生は悪い人です。」
なおも食い下がろうとする生徒を尻目にして、強引に授業再開である。(結局、逃げている私。)
しかしまあ、こういう態度をして「これだから日本の男は・・・・」と思わしめているのでだろう。

しかし、逆に日本人の立場から弁解をさせてもらえば、彼らのように激論をしてしまうと傷口をどんどん広げてしまうことになり、おさまるものも、収まりがつかなくなって関係がぎくしゃくしてしまうと思うのであるが、そのあたりが、デリカシーのない彼らにはまるっきしわからないらしい。というか、奴らは、大げんかした後でも、ケロっとした顔で、普通に話しかけてくるから、
そのターミネーターぶりに、日本人としては、さっぱりわけがわからなくなってしまうのである。

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国慶節中の東門 赤旗の嵐

全く、関係ない話であるが(少しはあるかな?)自宅近くに、東門という繁華街があって、そこを歩いていると、すかさず脇から、おばはんが「老板(社長)、セクシーDVDあるよ、セクシーDVD」と擦り寄ってくるので、大変困っていた。

内心「そんなに自分の顔はスケベそうに見えるのだろうか??」あるいは「自分が日本人ということを見破って、そういう声のかけ方をするのか??」などと、一人いぶかしんでいたのであるが、先日中国人生徒に話したところ、中国人でも、いい年をした男が一人でぶらぶら歩いていると、必ず、声をかけられるのだそうだ。つまり、何も自分の人相が特別にスケベ顔というわけでもなく、日本人だからということでもないのだとのことである。それを聞いてひとまずは安心した。

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