日本語教師日記 Ⅲ お金の話題になると、やたら食いつきがいい中国人

heater 電熱器が大活躍
  
ここ広東省にも冬が来てしまった。
つい1週間前まで、クーラーをつけてランニングシャツ一枚ですごしていたのに、今はこうして電気ヒーターを膝元に置きつつ、黙々とブログを書いている。

冬といっても、こちらのそれは12度~20度くらいであるから、そんな、たいそうなものではない。ただ、基本、暖房施設が貧弱な広東省では、この程度の寒さでもことさらに寒く感じてしまう。これは、黒竜江省(冬には-30度にもなる)出身の人間でも、「寒い。寒い」といっていたから、まちがいない。

さて、日本語学校のほうであるが、日本語検定試験が二週間後に迫っているということもあって、生徒の顔も、徐々に、真剣なまなざしに変わってきた。まあ、最近は、過去問等をやらせて、実際の自分の点数が現実に出てくるものであるから、「あいやーー」「没有希望(もうだめだーー)」とか言って生徒たちが悲鳴を上げている。

お金の話題になると、やたら食いつきがいい中国人

その過去問の解説をしているときであるが、上級クラスの一級の問題で日本の保険制度についての文章があって、海外で病気をした場合、その治療に相当する料金のうち、七割を返金してもらえると言う内容があった。つまり、10000円分の治療を受けたとして、その7割の7000円が返還されるというものである。
そこで、日本では、社会保険は三割負担で、これは国民全員が加入しているんですよというような話をしたところ「いいなあ。うらやましい。」という話になった。

「どんな病気でも、金額にかかわらず、三割負担なんですか?」(以下、生徒)
「そうですよ。」
「えーー、いいなあ。」
「でも、保険料を毎月、払わなければいけないんです。」
「え、でも3割くらいで済むんだったら、いいじゃないですか。」
「まあ、そうかもしれないね。でも収入が多い人ほど、たくさん払わなければ、ならない。
中国では、何割負担なの?」

ここらあたりから、生徒たちの意見が割れ始めて、収拾がつかなくなる。まあ、いつものパターンである。中国では、社会的な制度とか事情を聞いても、はっきりした明確な返事を得られることが少ない。彼らの中でも、農村と都市部、また親の勤務先などによって、そのあたりの福利厚生が変わってくるからであろう。

ただ、全体的な印象としては、やはり、年金と同様、保険のほうも、まだまだ自費負担している
ことが多いようである。一人が大病をしてしまうと、家計が傾いてしまうという話もよく耳にする。
また、風邪のように簡単な病気であれば、自分で治るまで待つと言うし、日本人のように気軽に病院へ行かないようである。
胡錦濤政権は、和階社会(本来、階はごんべん)というものを掲げて、そういった社会保険制度を整えようとはしているのだろうが、すべての人間にいきわたるのは、まだまだ先の話なのかもしれない。

(続き)

「でも先生は、中国に来てから、病院に行ってないので、
この制度を、利用したことがないんです。(これは事実)」
「え、でも、それはもったいないですよ。
「もったいないって言っても、必要ないんだからいいでしょう。」
「病気になったとき、どうするんですか?」
「いや、先生は病気になんか、ならないんです。」
「健康ですね。(笑) でも、万が一、病気になったら」
「いや、なりません。・・・というか、なれません。」
「(苦笑)」
「そのときは、はってでも日本に帰ります。」

幸いにして、自分の場合、中国で四年間、暮らしているが、大病した事がない。風邪なら何度もあるが、そのくらいは、自力で治している。と言うのも、海外で病院に行くのが、なんとなく億劫なので、無意識のうちに体に無理をさせないように、気を配ってきたのかもしれない。

あと、十年くらい前に、東南アジアの某国で、生活していた頃、歯の治療に保険が利かず、20万円もとられたことがトラウマになっているせいもあるのかもしれない。

今回も、急激な気候の変化で、不覚にも風邪をひいてしまったのであるが、それしきのことでは、医者なんか行かないし、薬すら飲まない。せいぜい、日本から持ってきた「改源」を飲むくらいである。

中国人の同僚から、「風邪薬、上げましょうか。よく利きますよ。」と薦められたのであるが、それも断った。
と言うのも、中国の薬は、自分の体には効きすぎるようで、以前、風邪のとき、「これ、飲んでみて」と言われて、リポビタンDのような飲み薬を(指示通りの量を)飲んだら、体がふらふらになったことがあった。
また、ひどい水虫に悩まされていたとき、(南国で革靴を毎日履いていると、むれるのでなりやすい)「水虫に効く薬があるよ」と言われ試したところ、効くどころかすごく痛みのある腫れ物ができて、とんでもない羽目になってしまったことがあり、それ以来、中国の薬に対しては、不信感がある。

ちなみに、中国の病院と言うのは、日本の病院とは違って、整形外科だけでなく、一般の病院までもが、広告をバンバンする。

hospital-bus こんな感じ

そんなに、一生懸命しなければならないというのは、逆に言えば、国家から、安定した社会保険収入が入らないからで、普通の企業と同じように、宣伝をしなければならないということなのかもしれない。そういう、医療という分野にも競争原理というものが入ってきてしまっているというのは、いかがなものであろうかとも思ってしまう。(このあたり、憶測で話しているので、正確なところは、もっと調べてみる必要はあるだろう。)

脱線してしまった。(続き)

「しかし、おかげで日本は、借金だらけなんです。(もちろん、それだけが原因ではないが)」
「えーー、そんな借金があるですか?」
「現在、860兆円です。」
「へーー(意外な様子)」
「日本は、実は大変、貧乏なんです。」
「じゃあ、誰が、そのお金を貸してるの?」
「日本の国民ですよ。(日本国民 ⇒銀行 ⇒政府 と板書)」
「え、でもでも、日本人は金持ちでしょ。」
「金持ちかどうかは知らないけど(苦笑)・・でも君たちに比べればそうかな。」
「中国は、国が金持ちで、中国人は貧乏ですよ。」「中国の役人は腐敗しているから・・」 
「そうですね、逆ですね、日本と。ははは・・・・・・」

しかし、どうも生徒たちは、中国に駐在している立派な日本人にしか出会っていないせいか日本人は金持ちだと思っているので、日本の政府の状況がそんな火の車であることなど、露ほども知らないようである。また、日本にもフリーターや、ニート、他、経済的に困窮している人が、どれほど多いかと言うことなど、話には聞いているにせよ、実感としては共有することは不可能かもしれない。

「でも、お金を持っているのは、60代以上のお年寄りがほとんどで・・・」
「どうしてですか?」
「それは、彼らの若いとき、日本の経済がよかった時に、かなり貯めていて、今も年金をもらえているからですよ。若い人は、そんなにお金を持っている人はいないんじゃないかな。」
「先生は?」
「え、わたし?」
「そう、先生。・・・お金持ちですか?」
「いやーー、先生は・・・・一般です。」

結局、これだ。またも個人的な詮索が入ってきたので、退散することにした。

しかし思うに、どうして中国人というのは、こういうお金の話題になると、食いつきがいいのであろうか。中国人にとって、物の値段、「これ、いくらで買った?」と言うのは、一番の関心事であるらしく、日本人のように、値段を聞くことがはばかられるという雰囲気がない。

shoes

この間も、自分が、新しい靴を履いていただけで「どこで買った?」「いくらした?」「靴磨きとか、玄関マットをつけてもらったか?」とか、もう大変である。
「そんなものはないよ。」といえば、今度はやれ「それは、サービスが悪い。」とか「何故、オプションをつけてもらわないのか」とか、うるさいこと、この上ない。(人の買い物のことは、ほっておいてもらいたいのであるが・・・・・・・)
さすが、邪魔くさくなって、「そんなに、お金の話をして、他に何か話題ないの?」言うと、「じゃあ、他に何があるんですか?」とくる。本当に、困った人たちである。

玄関マットどころではなさそうだ(写真;東門にて)

 その他、関連する記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA