茶餐厅Ⅰ その由来と歴史~香港ミルクティー製法

milktea 
アイスミルクティー(外冷やしタイプ)

さて、このところ深センでは20度を越える天気が続いており、日中になると汗ばむほどの陽気です。今年は暖冬で、いまいち冬という感じがしません。

今回は茶餐厅(チャーツァンティン)について、ちょっと触れてみます。

茶餐厅とは?

茶餐厅(チャー・ツァン・ティン)というのは、中国の一般庶民(主に広東人・香港人)が普段利用する、喫茶風レストラン(餐厅)というような感じの店のことで、中華レストランや飲茶よりもずっと庶民的な場所です。
元々は、香港で発達した形態で、中国側でも、街のあちこちで見かけます。
特徴としては、大抵の場合、「〇〇(茶)餐厅」という看板があり店先に鴨や鶏が軒先につるしてあるので、すぐにわかるはず。
teahouse-yazi こんな感じ
中は喫茶店同様、背もたれのある四角いテーブルがあり、ちょっとした時間、くつろげるようになっている。
また、大抵の場合、壁一面に日替わりメニューがはられ、壁に液晶テレビがかかっていて、香港の広東語TV(翡翠台(TVB)なんかが流れていたりする。香港の主要紙東方日報などが置いてあるのも特徴。
あと、店内は広東語が主体で、店員同士阿〇などと呼び合ったり、香港親父が広東語で世間話に花をさかせている。ある種、香港下町的世界が凝縮されているような場所である。

メニュー(後述)は、かなり多く、なんでもありといった感じ。味の方は、日本人からすると、甘さ辛さとも濃厚。おまけに、油ギトギトで、ボリュームも多いので、まともに食べていると、確実に、メタボ街道一直線となるので、注意が必要である。

まあ、ごちゃごちゃ説明しているより、以下のような動画を見てもらったほうが早いだろう。
【参考動画】

香港獨家 第4集 茶餐廳獨特處(広東語)
香港美女が「茶餐廳の由来、ミルクティ(奶茶)/蛋挞(エッグタルト)の製法」などを紹介。また、俳優の黄秋生(アンソニー・ウォン)が茶餐廳についての思いを語っているのも興味深い。漢字の字幕が付いているから、なんとなく雰囲気はつかめると思うが、以下、要約をつけてみたので、ご参考いただきたい。

茶餐厅の歴史について

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1920-30年代、香港には外国人の増加とともに、その飲食文化も集まってきた。当時の西洋人は午後8時以降に食事をする傾向があり、そのため午後に軽く何か食べる習慣があった。現在のいわゆる「下午茶(アフタヌーンティー)」である。
当時、英式のアフタヌーンティーは、香港セントラルのホテルか、半島ホテル(ペニンシュラ)に集まっていた。というのも、当時西洋人のほとんどが上層階層で、それなりに雰囲気というものを重視していたからである。
アフタヌーン・ティーと言っても、もちろん、お茶を飲むだけではなく、ケーキ類といった甘いものから、スコーン、サンドイッチまで何でもあり。これは、中国の「飲茶」などと同じである。
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しかし、当時の華人の収入では、とてもではないが、そういう贅沢な場所へ出入りできなかった。ではどうしたかといえば、自分たちの「アフタヌーン・ティー(下午茶)」を作ってしまったのだ。
当時、港沿いには、たくさんの屋台(大牌档(ダイパイドン))があったが、このような屋台を利用するほとんどは、労働者階級で、そのような人たちが、自分たちにとって、居心地のいい空間を作っていった。それが茶餐厅の始まりらしい。
teahouse5 屋台(大牌档(ダイパイドン))

香港ミルクティー(奶茶)について

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茶餐廳とくれば、まずは、ミルクティ(奶茶/ナイチャ)だろうか。
そのレンガ色の風貌といい、濃厚な味と言い、その独特の風合いにはじめはとまどうかもしれない。しかし、だんだんと、南国の気候とあいまって、あの濃厚さに慣れてくるから不思議なものである。なお、ほとんどの店では、最初から甘さを入れてあるので、少なくして欲しい場合は「少糖(糖分少なめ)」などと、指示をしなければならない。(これがなかなか通らなくて苦労する)動画では、ある茶餐廳で、ミルクティーの製法について、取り上げている。

動画の香港の店のミルクティーは「シーマッ・ナイチャ(丝袜奶茶)」と呼ばれることもあるようだ。直訳すると「ストッキング・ミルクティー
teahouse11ストッキング?
これは、お茶を煮込んだり濾過したりするときに使う布が、ストッキング(丝袜)に似ているところからきているとのこと。要は、もともとは、白い布の袋であるが、お茶を煮込むことで、そういう色合いになってくるということらしい。もともと、この老板(店主)の親父さんが、冗談でそういう風に呼んでいたところ、習慣になってしまったようだ。
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また、一回のミルクティーをとるのに、濾過して煮沸するといった作業を、8回ほど繰り返すので、20分くらいは必要だという。
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鸳鸯(ユンヤン)

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また、鸳鸯咖啡(ユンヤン・カーフェイ)についても、ふれている。鸳鸯は、おしどりの意味なので、直訳すると「おしどりコーヒー」要は、ミルクティとコーヒーのブレンドで、香港特有みたいである。
teahouse14鸳鸯咖啡
この奇妙なコンビネーションであるが、やはりこの老板のお父さんが、友人の求めに応じて、個人的に作っていたのが、自然に広まっていったとのこと。「あなたの店が、初めて提供したといえますね?」と女性が尋ねると、老板は「そうともいえます。」と答えている。
ちなみに、コーヒーとお茶は配分は「ミルクティー7に対してコーヒーが3」とのことである。実際のところ、コーヒーの方が濃いので、ミルクティーの風合いを残すためには、このくらいの比重がちょうどいいのだとか。

香港の経済成長を陰で支える

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1960-70代、香港にはまだ色々な工場があって、そういった工員たちが、午後3時頃利用して、また午後の仕事に出かけていくということがあったらしい。また、仕事が忙しくてこれない客に対しては、もっぱら外売(出前)で対応していたようだ。その頃の香港の高度経済発展を、ある意味、裏で支えていたとのが茶餐廳だったのである。

マニアック飲料

茶餐廳には、いろいろな飲料がある。「阿華田(オバルディン)」「好立克(ホーリック)」など、わけのわからんローカル飲料(ミロのような感じか)もあるし、以下のような、ちょっとマニアックすぎる一品もあるようだ。自分自身は今まで目にしたことは無いが・・・
teahouse19 忌廉沟鲜奶(何か?をミルクに入れる)
teahouse21 滚水蛋(グンシュイダン/熱湯の中に生卵を入れただけ) 
teahouse22 黒牛(アイスクリームにコーラ)

こういった類のものというのであれば、ホットコーラなんかもそうかもしれない。
以前どこかで「コーラ」を注文したところ。
「ホットにする?アイスにする?」と聞かれて驚いたことがある。
「ホットコーラ」なるものの存在を知ったわけであるが
何のことはない、単に暖めただけである。もちろん、炭酸はぬけている。

茶餐厅Ⅱに続く

茶餐厅のメニューについて

さて、茶餐厅のメニューは本当に何でもありで、そのメニューにはびっしりと漢字が並んでいて眩暈がしそうである。
teahouse-menu2

写真入りの時は、それを見て指差せばいいが、写真が無いときは、漢字からおよその見当をつけながら、注文するしかない。(まさか注文するときに、辞書をひきながら注文するわけにはいかないしね・・)
何回か行くうち、だんだん眼が慣れてきて、想像していたものと大体同じものが出てきたら合格?です。
コツとしては、先ず、大まかな区分を知ること。
メニューは「飯・面・粉・粥・腸粉・堡仔・面包」「湯」「飲品」といった感じに分かれている。大体以下のような感じ(カタカナは、普通話表記です。)

飯(ファン)・・・ご飯もの
面(ミイェン)・・・麺類全般
粉(フェン)・・・パスタ類  例えば「意粉」だったらスパゲティのこと<意大利(イタリア)>
粥(ジョウ)・・・かゆ
腸粉(チャンフェン)・・・ペラペラのうす皮の中に具が詰まっている中国独特の食べ物
堡仔(ボウザイ)・・・土鍋飯・・熱々のご飯がおいしいが、時間がかかるので、急いでいる時に注文しないこと。
面包(ミイェンバオ)・・・パン類  例えば「多士(トースト)」「三文治(サンドイッチ)」などは英語の音訳。
湯(タン)・・・スープのこと、もちろんお湯ではない。
飲品(インピン)・・飲み物全般
焼味(シャオウェイ)
いわゆるロースト類。客の注文を受けてから、店先に吊るしてある鴨や鶏を、あの四角い包丁でドンドンとぶつ切りにして出してくる。切るというより、たたいているような感じ。

以上、簡単だが、ご参考に。具体的なメニューについては、又機会があればということで。。。

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