シンガポールの想い出

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「マーライオン」 残念すぎる観光地として有名。でも自分は割と好きです。

先日、シンガポール(新加坡)のリークワンユー(李光耀)元首相がなくなって、国葬が行われりとかで、かなり注目されてますね。
シンガポールといえば、かなり前ですが、自分も3年ほど、住んでいたことがあって、ちょっと懐かしいんです。確か、リークアンユーさんの家の近くだたっと思います。
当時(2000年前後)は、彼はすでに引退していて、2代目で中継ぎのゴーチョクトン(呉作栋)という長身(190cm)の首相でした。所詮、中継ぎなので、李さんのコピーみたいだったようですね。その後、李さんの息子のリーシェンロン(李顕龍)に引継いだんですね。

今回は、ちょっと、自分の経験を交えつつ、シンガポールについて語ってみます。

いきなり海外

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タイガーバーム

私事になりますが、当時、自分は海外旅行にすら行ったことがないなかったし、海外に行くなんてことすら考えたことがありませんでした。まあ、生活に汲々としていて、それどころではなかったというのもありますが、なんとなく、自分には縁が薄い世界という気がしていたのです。
当時の日本は、山一證券や拓銀が破綻したりだとか、バブル期のほころびが出始めていた頃でしたが、まだまだ今の日本よりは元気が残っていた時代だったという気がします。でも、当時から、日本に閉塞感を感じていた自分は、何かないかと探していたわけです。

そんな時、たまたまある会社の募集広告を見て、行く機会を得たわけですが、シンガポールというのは、別に自分が選んだわけではなく、たまたま、ポジション的に空きがあったというだけです。言われたときは、シンガポールに対して、ほとんど何のイメージも無く、別の国のほうが、いいのになあと思いましたが、でも折角の機会なので、とりあえず、行ってみることにしたわけです。

逆カルチャーショックも

結果から言えば、まあ海外に出てよかったと思います。

今までは、日本の価値観とか、いろいろな文化習慣が絶対と思っていたことが、実はそうではないらしいということに気が付いただけでも、幸いでした。

シンガポールは、今ほどイケイケではないにしろ、当時、すでに都市として完成されていたので、カルチャーショックというようなものはなかったです。むしろ、最初に日本に一時帰国したときのほうが、ショックが大きかったような気がします。「自分ってこんな国に住んでたんか!」という。まあ、一種の逆カルチャーショックですね。

ビザが下りない!

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シンガポール現地で就職する時、とにかく、最初、ビザが下りるのに難儀しました。初めて、海外で就職するということもあって、上司に付いて何回も移民局に行脚しましたが、行くたびに、華人の職員に例のシングリッシュで頭ごなしに詰問されたり、インド人のおばちゃんに「サーティフィケイト!(証明書が無い)」と怒鳴られたり、散々でした。でも、何であんなに態度がでかいのか?理解に苦しみます。

インタビューを受けるまでは、待合室で待つわけですが、そこでは、毎度、ミスター・ビーンがかかっていて、目にタコができるほど見させられました。ビザが下りない期間は、隣りのマレーシアのジョホールバルという街(ワールドカップ出場決定で有名)までバスで30分乗って、日帰りで帰ってくるんですね。そして、シンガポールに再入国すると、また二週間滞在できるわけです。

しかし、そんなことを何回も繰り返しているうちに、ビザは一向に下りる気配も無く、3ヵ月ぐらいして「もうコレは駄目なんじゃないか。帰国用のチケット買っといたほうがいいかもよ。」みたいな話になりかけたときに、やっとビザが下りました。どの国でもそうですが、新規でビザをとるのは結構、大変です。

住環境はいい、でも退屈

そうして、苦労してビザが出たのはいいのですが、その頃には、すでに、この国に飽きていました。実は、シンガポールというのは、長く住むにはあまり面白い国ではありません。

季節はずっと夏で変化がなく、町全体が、何かアミューズメントパークのような、無機質な感じで、休みになるたび、近くの国に飛び出していくという繰り返しでした。幸い、シンガポールからバスに乗って、30分もいけばマレーシアになりますし、飛行機で、1時間も飛べば、タイ、インドネシアになるので、国内感覚で安く海外旅行ができます。

ただ、日本のように通勤に苦労しなかったことは幸いでした。歩いて5分のところに会社があるので楽と言えば楽でした。逆に日本(特に首都圏)は、通勤にエネルギーとられすぎではないかなと思いますね。あと、いいことといえば、マンションに必ずプールがあるので、年中、泳げることくらいですかね。でも、実際、そんなに泳ぎませんけど。

しかし、はっきりと、ビジネスをやるとか目的がある人であればともかく、自分のような一般ピープルが、漠然と暮らすには、退屈でしょうがない国ではありました。

そういえば、相続税逃れのためだけに、この国に滞在している富裕層も、結構、大変なんじゃないでしょうか。しかも国税庁が、例の五年滞在ルールを、十年に延長しようとしてるらしいので、余計にそうでしょうね。

明るい北朝鮮 シンガポールの負の側面

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シンガポールは住環境もよさそうだし、食べ物もまずまず問題ないし、当時はそれほど物価が高くなかったので、一見するといいトコずくめのようですが、負の側面があまり語られていない気がします。

明るい北朝鮮」と言われたりするらしいですが、言われてみれば確かにそうだなという気がしないでもない。結局、世襲国家ですしね。

とりあえず検閲

とりあえず、独裁国家ですので、検閲はすごいですね。

日本の雑誌も、一応「紀伊国屋」に置いてあるんですが、フライデーだったかで、中央の本を閉じてある部分から5ミリくらいのところで、カッターナイフで切り取られた跡が残ってたりするんですね。「何も、そこまでしなくとも」と思うのですが、今もやってるんでしょうかね。あるいは、ドラえもんの静ちゃんだかの入浴シーンだけカットされてたりとか。「はあ??」という感じですが。

というわけで、アダルト関連の本やDVDなんてものも、当然置いてあるはずも無いのですが、でも、無いはずのものがあったりするのが現実なわけで、一般のDVDに混じって、そういったものを、売っているところもあったりします。場所と時間を限定して、さっさとさばくような感じでした。

でも、今はインターネットからどうやったって、そんなものは入ってくるわけで、そのあたりどうしているんでしょうかね?

人も輸入

でも、風俗関係の店は、ちゃんとあって、しかも、国家がちゃんと管理しているみたいです。要するに赤線です。俗に「ゲイラン」地区といってますが、確か地図には載っていなかったはずです。そして、中で働いているのは、ほとんどタイの女性のようです。

シンガポール港は世界第2の貿易港ですが、要は人も輸入するということです。

お馴染み、フィリピン人メイドさんは当たり前として、インド人、ミャンマー人、タイ人・・・・とありとあらゆるところから、人を輸入するんですね。
よくバスに乗っていて外を見ると、カンカン照りのさなかに、真っ黒な肌のミャンマーの男が、道路工事をしてましたが、ほとんど単なる雇用の調節弁という印象でしたね。シンガポール人なんか、そんな重労働はしません。
人権もへったくれもない。人口が少ない都市国家ということもあって、そのあたりは、はっきりしている感じでした。もちろん、シンガポールへやってくるほうも、稼ぐだけ稼いだら、さっさと本国に帰るだけで、時間や労働力の切り売りだと割り切ってるとは思いますが、それにしてもドライな感じです。

頭脳流出に頭を悩ます

上記のような単純労働者以外にも、優秀な人材を招聘したりしているようですが、一方では、頭脳流出も結構あるみたいです。シンガポール人は英語を話せますので、自由を求めてアメリカなど他国に流れていっちゃうみたいですね。
私見ですが、何でもビジネスに結びつけようとするような風土では、真の意味での創造性なんてものは、はぐくまれないような気がしますね。その辺に限界を感じて、シンガポールを離れるのではないでしょうか。

中国のモデルケースとしてのシンガポール

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リークワンユー(李光耀/左)とゴーチョクトン(呉作栋)

鄧小平が、中国の経済を開放するにあたっては、西側国家ではなく、相当シンガポールの事例を研究していたみたいですね。中国の中にミニシンガポールを何十個つくるとかそういう話を聞いたことがあります。
実は、深センという街も初めて来た時、シンガポールに少し似てるなと思ったんです。特に、蛇口とよばれる周辺なんか、シンガポールをちょっと泥くさくしたような感じですしね。
深センも、経済特区として人工的に作られた街なので、そのあたり余計に似てしまうのだと思いますが、いかんせん、住んでいる人間が、超人間くさい中国人なので、絶対に、人工的にはなりえないですが・・。

開発独裁

中国がシンガポールのような開発独裁国家をモデルにしたのは、今までのところは正解だったと思います。政治、法律なんていうものは、全部、エリートに任せて、一般庶民は、ただ経済活動に専念すればいいと。
中国なんか民主化した日にゃー、人々が勝手なことを言い出して、収拾がつかなくなるんじゃないでしょうか。その前に、選挙の時点で、大量のマネーが飛び交うなんてことになりかねないような。そのあたりが、わかっているから、エリートによる開発独裁なんでしょうね。
ただ、中国人が、金の話しかしないというのは、そういう政治体制が、彼らをそのようにさせたという面が大きいのではないかという気がします。

あの人も

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政治的自由を放棄して、経済を優先した結果かどうかしりませんが、シンガポールは、一人当たりのGDPがアジアでは、完全にトップになってしまっているようです。
自分が住んでいた頃は、まだ日本の方が、一人当たりGDPでも多かったのですが、人口が少ない(現在600万人くらい?)のと、富裕層が、かなり引っ越してきたりして、あっという間に、追い越してしまいましたね。
投資家として有名なジムロジャーズ(写真)さんも、その一人ですね。「これからは、中国の時代だ!」といいつつ、シンガポールに住むというところがミソですが、お孫さんに、中国語を習わしているとかで。

こんな事件も

自分は、もう十数年間シンガポールへは行っていないので、現在の当地の様子はしるよしもありませんが、数年前におこったこんな事件が印象にのこっています。

Ferrari Crash With Taxi At Bugis Captured On In Car DVR – YouTube
この事件は、深夜4時すぎのブギスジャンクションという中心部の交差点でおきたようです。中国人が運転するフェラーリが、赤信号にも関わらず、猛スピードで交差点につっこんで、乗っていた、シンガポール人運転手と日本人の女性がなくなったようです。
フェラーリの中国人は、典型的な「富二代」(二世のこと、いいニュアンスは無い)で、その後、現地でも、そういった富裕層に対する風当たりが激しくなったようです。

しかし、このビデオのタクシーは、本当に運が良かったですね。
一寸先は闇といいますが、何が起こるかわからないのが人生です。

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