世界卓球2015蘇州 14歳天才卓球少女ほか 

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平野美宇と伊藤美誠、次世代コンビ

世界卓球蘇州大会が終了した。

今回も、終わってみれば、中国勢の圧勝という結果であったが、日本の若手が着実に育ってきているという印象を受けた大会でした。世代交代が、確実に進みつつあるようです。これまで全く見えなかった、先頭集団を走る中国の背中が、かすかに見えてきた気がします。

例えば、以下の試合。

若手の台頭が著しい日本


【世界卓球2015 蘇州】男子ダブルス準々決勝 森薗・大島組 – YouTube

http://v.youku.com/v_show/id_XOTQ1NDAwNDYw.html
2015世乒赛1/4决赛【许昕・张继科vs森园政崇・大岛祐哉】优酷网(中国語)ダイジェスト版

台のそばでめまぐるしく動く、四人の選手。このスピード感、たまりません。
ランキングからすれば、森园(ランク28位)大岛(同57位)ペアが、许昕(2位)・张继科(3位)に、圧倒されても不思議ではないはずであるが、単純に1+1が2にならないのがダブルスの面白いところ。最後は、本当に惜しかったが、中国のトップ選手に対して、一歩も引けをとらないプレーは高く評価できる。

14歳天才卓球少女 伊藤美誠について

女子も面白い人材が頭角を現してきた。今回、特に伊藤美誠と李晓霞の試合は、中国メディアでも驚きをもって受け止められているようだ。

【世界卓球2015 蘇州】女子シングルス準々決勝 伊藤美誠 vs 李暁霞 – YouTube

http://v.youku.com/v_show/id_XOTQ2MTg5NDI4.html
2015年苏州世乒赛女单四分之一决赛 李晓霞VS伊藤美诚—优酷网(英語版

良くて1ゲーム取れればいいところだろうと思っていたが、ディフェンディングチャンピオンの李晓霞(ランク3位)相手に、一歩も引けをとらない戦いぶりは、驚きである。

スピード、力、回転について、総合力で勝る中国選手を相手にするには、まともに組み合っては勝ち目が無い。ゆえにパワーヒッター李晓霞に対しては力で対抗せず、ブロック、ストップを多用して、相手の力をころすような返球の仕方をしている。
伊藤のストロークは非常に独特で、ラケットを「振る」というよりは、角度をあわせて「かぶせる」「差し出す」「はらう」というような非常にコンパクトな打法である。いわば、究極の省エネ打法ともいえる。スマッシュですら全力で打たず、ハエたたきのように、返球しているのが面白い。

また、打点が早い。

とにかく、台にくっついて、ボールがバウンドしてから、最高点に到達するまでの早い段階で、ボールを処理してしまうので、返球のタイミングが早くなり、相手にプレッシャーを与えることが出来る。相手の李晓霞は、第1、2セットは、本当にやりにくそうだった。
また、バックから時折、驚くほど、強力なカウンターをみせるが、解説が「ロケット・バックハンド」と形容するほど、確かに破壊力がある。李晓霞は、これに対応できていなかった。

第3、4ゲームは、さすがに李が修正してきたが、5ゲーム目では、またも接戦に持ち込む。結局、デュースから落としてしまったが、10-8でリードしていただけに、あのゲームを取っていたらと思うと非常に惜しい。そのまま勢いで勝っていてもおかしくない試合だった。

また技術面もさることながら、終始、ゲームを楽しんでいたのもいい。まだ14歳ということもあって、背負うものが少ない分、自由にやれるということもあるのだろうが、それにしても、すごいのがでてきた。
いずれにせよ、伊藤のスタイルは、万里の長城のごとく立ちはだかる最強中国に対する、日本の戦い方の一つのスタイルを示唆してくれているといっていいのではないだろうか?

※ちなみに、伊藤はラケットのバック側に、表ソフトラバー(つぶつぶラバー)を張っているようです。一般的に、表ソフトは、裏ソフトに比べて、球に回転はかけにくい分、玉離れがいいので、球速が早くなる傾向に有ります。また、回転の影響を受けにくいので、角度打法に適しています。相手へ返球した時、通常の裏ソフトとちょっと違う変化があるので、李晓霞はそれに戸惑ったのかもしれないです。

5年後、日本卓球は中国を越えるか?

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こういった、日本のティーネージャーの台頭に対して、中国メディアや、中国チームのコーチ陣も、結構、警戒感を感じているようだ。
http://sports.163.com/15/0501/07/AOGUQDIF00051CAQ.html
世乒赛日本小将”狼来了” 五年后日本赶超中国?(5年後、日本は中国を越えるか?)_网易体育(中国語)
日本の若手の紹介すると同時に、「養狼計画」と称して2020年の東京オリンピックを目標として、虎視眈々と中国卓球の牙城をくずす機会をうかがっているというような記事。
日本の若手選手は、中国のスーパーリーグに積極的に参加したり、中国人コーチを招聘したり、中国に教えを請うことに余念が無く、日本の卓球協会は、年間3億円(うち若手へ1億円)を使用して、バックアップしているのだという。

http://www.suzhou2015.org/a/20150430/058037.htm
孔令辉:木子状态好 团体最大对手是日本_地方站_腾讯网(中国語)
孔令辉というコーチのインタビュー動画。

世界ランクhttp://www.tibhar.jp/wr.htm
相変わらずの、中国の上位独占振りであるが、日本の若手の台頭も目立つ。女子は、ランク20位以内に5人も入っている。

卓球王国ウェブhttp://world-tt.com/

网易体育_乒乓球(中国語)http://sports.163.com/ppq/

付記

日本の卓球は、戦後の大昔に一度、黄金時代があり、「卓球日本」と呼ばれていたこともあったらしいが、自分が卓球をしていたときは、既に中国に王座を明け渡して、長期の低迷に入っていた。当時曹燕华」「江嘉良」といった中国選手、スウェーデンの「ワルドナー」などが強かった。
曹燕华は、当時の女子最強で、そのヤンキーねーちゃんっぽい風貌がかかっこよかった。この頃は、まだペンホルダーのラケットが、多かった時代である。

ダークホース 木子について

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対する中国であるが、いつもの顔ぶれにくわえて、またすごいのが出てきた。

木子

変な名前であるが、これでフルネームだという。日本のTVでは、「もくし」と呼んでいたが、中国語では「ムーズ」と読む。「木」さんというのは、自分の知り合いの中では、聞いたことがないが、多分、北方に多い苗字なのかもしれない。出身は、遼寧省だとのこと。

まあ、それはさておき、とんでもないのが、また一人でてきた。石川佳純(ランク5位)、冯天薇(同4位、シンガポール)をあっさり4-0で退け、その実力をいかんなく見せ付けてくれた。最後は、丁寧に3-4で破れはしたが、一旦調子にのせると、手がつけられないほど強い。中国でも、木子の進歩については、やはり驚きであったようで、ここ1年のうちに急速に力をつけてきたようである。


【世界卓球2015 蘇州】女子シングルス3回戦(石川佳純 vs 木子) – YouTube
http://v.youku.com/v_show/id_XOTQ1ODA1NzIw.html?from=s1.8-1-1.2
20150430苏州世乒赛 女单第三轮 石川佳纯vs木子 乒乓球比赛视频 完整版—在线播放—优酷网(中国語版

とにかく、フットワークを利用して、前後左右に動き回り、強力なフォアハンドを主体に三級目攻撃、ドライブ、スマッシュでガンガンせめていく。リストが強く、一発で打ち抜く威力があるし、打ち合いになっても、打ち負けないしぶとさもある。また、バックハンドでのリターンも強力である。一昔前の、ペンホルダーグリップの選手(絶滅寸前か?)が取っているようなスタイルに近いといえる。
また、ボールへの反応速度もすごい。相手のスマッシュでも、やすやすと返球したりする。これをやられると、打ったほうはたまったものではない。石川も、最後は、打つ手が無いという感じだった。

昨今、女子の卓球は、どちらかといえば、張怡寧や、石川のようなオールラウンド型が主流のような印象があるが、今回の木子のような、フットワークを利用して、可能な限りフォアハンドで攻撃する豪快な卓球でも、十分、通用するんだなと思わせてくれるものがあった。まあ、もちろん、それを支える基礎体力は必要だろうが・・・

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この木子、試合中は、不敵とも思えるくらいクールさであるが、普段は、子供っぽいところもあるようだ。勝利後のインタビューで、「今大会のダークホース(黒馬)と呼ばれていますが」と聞かれると、「黒馬でも、白馬でも、宝馬(BMW)でも何でもなりますよ。」とひょうきんな一面も見せる。わりと、からっとした性格のようだ。

ちょっと、調べてみたところ、どうも八一(軍)の所属の選手のようである。
http://baike.baidu.com/subview/184213/5789719.htm
木子(中国乒乓球队女运动员)_百度百科

コーチの李隼は、张怡宁のコーチだった人であるが、「木子をダークホースと呼ぶのは、ちょっとちがうのでないか?「小将」ではなくすでに「老将」だ。実力、経験ともに兼ね備えた選手だ。」といっているが、何で、そんなすごい選手が、ランク外なのか?不思議である。
結局、中国の選手層が厚すぎるということなんだろうが、全く、中国というのは、いったい、どういう逸材が飛び出してくるかわからない。

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