深圳ソフトウェア産業基地 ~中国のシリコンバレー訪問


最近、深センに関する記事を目にする機会が増えた気がするのだが、気のせいだろうか。

それらの記事によれば、深センは、今や、中国のシリコンバレーとなっているらしい。

まあ、たしかに、中国人は、日本人と違って、自分で商売を始めたいという人が多い。中でも、ここ深センは、10人に1人は創業すると言われるほどで、石を投げれば、社長(老板/らおばん)に当たる?状態である。(まあ自分も一応は老板だしね)

まあそれはいいが「ほんとに、そんなに、シリコンバレーなのか?」を確かめんとて、今回、IT創業の拠点「深センソフトウェア産業基地」に向かってみた。

以下、前回の記事に、大幅加筆修正した。

とりあえず、最寄り駅の地下鉄「后海」駅を出ると、こんな感じの風景がひろがっている。どこもかしこも、高層ビルの建設ラッシュ。とにかく、最近の南山区の発展ぶりは凄まじい。

さらに駅から歩くこと10分、前方に、いかにもバブリーな風景が出現!!

この、いかにもなハイテクビルが立ち並ぶこの一画こそが、今回の目的地「深センソフトウェア産業基地(深圳软件产业基地)」である。

では早速、入ってみよう。

深センソフトウェア産業基地

うーーん、なんというか、ちょっと異次元。とにかく、他の中国の街とは、明らかに空気感が違う。

なにか、中国というよりは、北米あたりの雰囲気に近いというか。といっても、北米もシリコンバレーも行ったことがないのであるが、まあ、そういうコンセプトを、そのまま導入したような気がしないでもない。ただ、行き交う人々は、バリバリのチャイニーズであることは言うまでもないが。

この「深センソフトウェア産業基地(深圳软件产业基地)」 中国が、官民一体となって、IT関連の創業者を支援するために作った街ということである。ごく簡単に言えば、会社を作りたい若者に対して、既存の大手企業が、交流の場や、人材や資金を提供するという、そういう場所のようだ。

街は、クリスマスを控えて、どのビルも、飾り付けに余念がない。といっても、年の瀬というムードはほとんどないが・・

カフェ文化、花咲く

この街を歩いてみると、オープンテラスのカフェが多いのに、すぐに気がつくだろう。確かに中国では最近、コーヒーを飲む人が増えてはきているが、さすがにこれは多すぎだ。

案の定、このあたりで写真をとっていると、カフェの呼び込みから声をかけられた。やはり、競争も激しいのだろう。客引きも結構、大変のようだ。

洒落た感じのカフェが軒を連ねる。ただ、冬はいいが、深センの夏は湿度が高いので、オープンテラスはきついとおもうが、どうだろう。

猫屎(猫の糞)咖啡? なにげに、とんでもない名前がついているのであるが・・・・調べてみたところ、これは、ダテではなく、インドネシアの珈琲店で、本当に、ある種の猫の糞から抽出した、未消化の豆から、コーヒーを作り出すそうである。希少であるが故に、非常に高価なコーヒーだとのこと。一般庶民には、全く理解不能な世界である。

栄養朝食、ビジネスランチ、午後茶の看板。

カフェ以外に食べ物関係ももちろんある。中国でも最近、こういった、マクドナルド(麦当劳)やバーガーキング(汉堡王)以外のハンバーガーショップもみかけるようになった。中国人と言えば、もっぱら豚か鶏だったが、牛肉を食べる文化も、浸透してきているようだ。

といっても、やはり中国人。辛いものは欠かせない。

この街は、とにかく、標識がわかりやすい。通常、中国の街は、色々な屋外広告で溢れていて、ごちゃごちゃしているが、ここは、広告や標識が、すっきりとしている。

出前(送餐)や宅配便(快递)といった、デリバリー関係は、ここで待てということか。

他のデリバリーに混じって、ヤクルトおばさんも健在。ヤクルト(益力多)は、何故か、中国でも根強い需要がある。

かなり大きなバーも。夜は、カフェからバーへと主戦場が移る。

高級スーパー

近頃、増えてきた、高級スーパー「超級物種」。確か、福田COCOPARKのイオンが撤退した後、入れ替わりに、これができたはず。

このスーパーは、やたら、照明と陳列が綺麗という印象がある。モノは、高級なものもあるが、意外と一般的なスーパーと変わりはない。(写真は福田の店内)

その他、銀行、郵便局、医院など生活に欠かせないものはもちろん、専門図書館や弁護士会館なども隣接しており、各方面での、バックアップ体制も万全のようだ。

区画に置かれたゴミを、おじさんが、回収に回っている。底辺で街を支える人たちも存在する。

全体図

ここで少し、全体の構造について、俯瞰しておくと、このソフトウェア産業基地は、総面積12.30万㎡の中に、テンセントや百度をはじめ、マンゴー網、A8音楽、などIT関連企業が入居。研究開発オフィスから住居棟まで完備しているという。

1棟から7棟までのブロックに別れていて、それぞれの棟がさらに、A座からB、C、Dと別れている。左のペンギンのマークが、テンセント。右上、少し外れたところに百度の拠点もある。

例えば「2A」なら第2棟のA座ということになるらしい。いかにも、IT関連の街らしく、整然と区画割されている。

街角の標識。ちょっと無機質な感じがしないでもない。

中庭

こういった街は、えてして無機質で殺風景になりがちということなのか、それを中和するために、中庭や回廊に、現代美術館風のオブジェや階段を配置して、いかにもクリエイティブな空間を演出している。

円や斜めのラインが遊び心を感じさせる。

こちらは、アートめいた空間。

小さなブースがいくつも並んでいる一画。

シェアサイクル(共享単車)

近年、隆盛を極めている、シャアサイクル「共享単車」。もちろん、ここでも市民の足になっている。しかし、このあたりの自転車は、区画内に整然と並んでいて、かなり厳格に、管理されている模様。

こちらには、「シェアサイクル(共享単車)を、このあたりに、置くことを禁じる。」という看板。ここに限らず、近年、シャアサイクルは、公園、駐車場、お寺の境内など、公共のスペースを中心として、利用を制限されるようになっている。まあ、これはもっともなことだろう。

シェアカー(共享汽車)のステーションも

いかにも未来志向の土地らしく、シェアカー(共享汽車)のステーションもあった。
シェアカーというのは、シャアサイクルの車版であるが、さすがに、普及しているとは言い難い。参入企業は多いが、なかなか採算にあう企業が少ないようだ。

ポニーカー。ちなみに、使われているのは「知豆(ZD)」というブランドの車。こういう小型の電気自動車が多いようだ。

充電ステーションもあちこちに。

しばらく歩いていると、向こう側に、奇怪な形をしたテンセントの新社屋が見えてきた。

テンセント(腾讯)  チャイニーズドリームの体現者

泣く子も黙る、中国IT業界のリーダー、テンセント(腾讯)、その新拠点(腾讯滨海大厦)がすでにオープンしているようだ。

テンセントと言えば、チャイニーズドリームを最も具現化した会社といえるのではないだろうか。株価は、上場以来、数百倍に達し、今年は、時価総額でフェイスブックを抜き、香港市場では「株王(股王)」の名前を欲しいままにしている。

テンセント(腾讯)は、今を去ること20年前に、深セン華強北の一画で創業された会社であるが、QQメッセンジャーで発展し、更に最近では、ウィーチャット(微信)の普及で、その地位を、不動のものとしている。ITベンチャーを志す中国人であれば、誰もが憧れる存在で有る。

テンセントの創業者である、馬化腾(ポニーマー/写真)が言うのには、「自分と同じようなことをしていた同業者はいたが、自分たちは、たまたま2週間だけ、彼らより先んじていたに過ぎない。」ということだが、そんなもんなんだろうか。

まあ、たしかに、ウィーチャットみたいなアプリだって、ゼロから開発したわけじゃなく、他の会社のソフトの焼き直しにすぎないのだろうし、そういう面もあるのかもしれない。

とすれば、開発力より、いかに迅速に市場に拡散させるかということがポイントになる。その点、すでにQQというプラットフォームのあるテンセントが勝つのは、自明の理であるといえるだろう。

まあ、それはさておき、テンセントの向いのビルで、携帯を向けて写真を撮っていると、警備員から声をかけられてしまった。この辺は、警備が少し厳しく、あまり調子に乗って写真を取っていると、まずいようだ。

テンセント側から、A8音楽、などIT系企業のハイテクビルが連なる、メインストリートを眺める。

家賃について


ビルの背面には「租(レンタル)」の大きな文字。

ちなみに、このあたりの物件を、買ったり、借りたりする場合であるが、創業者がスタートアップする際、優遇措置があり、周囲の住宅地と比較すると、半額程度に抑えられるようだ。

ただ半額と言っても、そもそも、このあたりの家賃自体が高いので(マンションを普通に買っても一億円くらいする)平均3.3万元/㎡、1平米50万円くらいとしても、100㎡で5000万円はするようだ。

ちなみにハイテク企業の社員には優遇措置があるという。ただし、頭金5割必要、銀行ローン10年、3年以内の転売は禁止という条件がついている。

百度、アリババも  BAT、揃い踏みも

ちなみに、テンセントのライバル、百度、アリババ(阿里巴巴)といった、巨大IT企業の拠点も、現在、造成中で、出来上がれば、いわゆる、BATと呼ばれる、ビッグスリーが一堂に介することになる。(写真右側のビルが「百度」の新たな拠点。)

中国の未来がここに

以上、歩いてみただけなので、表面的なことしかわからないが、まあ、なんとなく雰囲気だけは感じることができた。ネットで検索しても、一部を除いて、ほとんど情報がないようだし、まあ、すべてはこれからということなのだろう。

これが単なるバブルで終わるのか、それとも、ここから起業家が育って、第二のテンセントが出てくるのかはわからない。ただ、中国の産業は、今、曲がり角にあり、従来型の産業だけでは限界があるということは明らかで、だからこそ、官民挙げて、新たな産業の育成、イノベーション企業の発掘に力を入れているのはわかる。

とりあえず、今後しばらくは、この街からは、目が離せないようだ。

 

深圳ソフトウェア産業基地 ロケーション

深圳ソフトウェア産業基地は、地下鉄2号線、11号線「后海」駅(写真)から歩いて5-10分程度。

周辺には、北に深セン大学やテンセント本社などのあるハイテクパーク(高新園)、南にはイオン等のある海岸城商業地区、西には金融特区の前海地区、東には香港への出入り口、深セン湾口岸があり、産業、学問と商業娯楽施設の中間に位置し、ロケーション的には、最高である。

 

深圳ソフトウェア産業基地 紹介動画

とりあえず以下のような動画があったので、紹介しておこう。

深圳软件产业基地 – 搜库

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