広東の方言(粤・客家・閩南)と中国十大方言

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台湾総統、蔡英文(客家人) 
さっそくトランプ氏と電話対談をはたす。

今回は、少し中国語の方言について、話してみる。

日本にも、関西弁とか東北弁があるように、中国にも、もちろん方言がある。
いや、あるどどころの話ではない。実際、中国の南部は、方言だらけともいっていい位である。しかも、お互いにまともに話したら通じないレベルなので、その差たるや、日本の比ではない。

普段、我々が、中国語と呼んでいるものは、普通話というものであるが、あの発音のとおり、話している中国人はあまりおらず、実際は、多かれ少なかれ、皆、なまっている。

例えば、以前、広東語のことについて少し話したが、広東省の方言は、なにも広東語だけではない。下のような方言地図を見ると、広東省は、(エツ/ユエ)と客家(ハッカ)、閩南(ミンナン)という、三つの言語がせめぎあう、三つ巴になっていることがわかる。

粤・客家・閩南 三つの言語がせめぎ合う広東

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おおざっぱに言えば、中央の珠江デルタをはさんで、西側のオレンジ色の地域が粤(エツ/ユエ)、東側の緑色の地域が、客家(ハッカ)、両脇の赤い部分が、閩南(ミンナン)と呼ばれる地域となっている。まあ、実際は、そんなはっきりと別れて住んでいるわけではないのだろうが、大まかに言えば、そういうことだ。

というのは、広東省全体を指す言葉になっているが、粤語は、香港と広州という大都市を制しているだけあって、広東省の中では、共通語として機能している。一般的に、広東語といえば、粤語のことである。

kejia次に、客家であるが、広東省の東へ行けばいくほど、客家人の密度が多くなるようだ。そして、その先には、客家の故郷として有名な、客家土楼(世界遺産、福建省永定県/写真)がある。

あと、閩南(ミンナン)は、広東省の潮州、汕頭(スワトウ)から福建省、さらには、台湾で話されている言葉で、地域によって、閩南語、福建語、台湾語と名前を換えて呼ばれているが、系統は同じようである。

つまり、何がいいたいかといえば、一口に広東人といっても、いろいろな人種がいると言うことである。

ちなみに、うちの会社にも広東人がいるが、客家人が半分くらいで、潮州人はたまにという感じだろうか。もし、中国人の同僚に広東人がいたら、何系の広東人かを聞いてみれば、話のネタになるだろう。

広東人は、北方の大陸人と比較すると、人あたりが柔らかく、中国人独特の、つっけんどんなところが無い。大陸性ではなく、あきらかに海洋性という感じがする人たちである。特に、潮州付近の人は、日本人に近い感じがする。感覚的な印象だが、日本人から、神経質で、完璧主義なところを、のぞくと彼らになるような感じとでも言おうが・・・・。実際、潮州、あるいは台湾で話されている閩南語は、日本語に似ているとも言われ、そういう意味では、彼らは、もっとも日本人に近い、中国人といえるのかもしれない。

ちなみに、この地図では、さらに細かい方言レベルまで調べられていて、同じ粤語でも、吴化片、高阳片・・・・というように、(ピィエン/方言)の分布まで載っている。ちなみに、このレベルで、ようやく、日本の方言のレベルの程度とみていいと思う。

中国十大方言

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次に、広東省以外について、見てみよう。

言語状況は、南北で大きく異なる。北京や東北を中心とするエリアが、北方言語で、ほぼ統一されているのに対して、南は、戦国時代のような、百花繚乱の様相を呈している。
中国には、中国十大方言というのがあるらしく、(闽、呉、客家、晋、湘、赣、粤、官、徽、平話)まるで、中国古代の戦国時代の地図のようである。(ちなみに、これはシナ語だけなので、少数民族の言葉を含めると、こんなものでは済まなくなる。)

北方」は、いわゆる、中国語の普通話のベースになっているもので、東北から北京、華北、四川まで、カバーしている。しかし、一応、この中に入っている、四川弁など聞いてみると、かなり酷くなまっていて、外国人が聞き取れるレベルではない。彼らは、「十」と「四」の音の区別がつかないといっては、馬鹿にされているくらいである。ちょうど、日本の標準語に対して、コテコテの関西弁を聞いているような感じにも似ている。このくらいが、日本でいるところの方言のレベルであろう。

「北方」以外は、中国人同士でも、初見では聞き取り不能レベルであり、一応、方言とはいうものの、外国語に近い感覚である。
」は、要するに、上海語であろうか。このあたりも、音的に、日本語に似てなくもない気がする。
」は、湖南省であるが、このあたりは、非常になまっていて、彼らが、家族としゃべっている言葉は、全く、聞き取り不能である。

これだけ、意思疎通が不能な言語がいっぱいあって、さらに、少数民族なんかもいるわけであるから、分裂をしないほうが不思議である。逆に言えば、普通話というのは、漢字と同様、ほっておけば容易に分裂してしまう国家を、つなぐ道具としての機能を果たしているといえる。
こういうところは、ほっておいても、ワンワールドを形成できる、日本とは、決定的に違うところである。

あと、台湾であるが、が中心で、そこに客家が、混じっている。ちなみに、台湾の総統、蔡英文氏は、客家である。ただ、あまり客家語が得意ではないらしく、選挙前は客家の票源を獲得すべく、客家の集会に顔を出しては、客家語の練習をしているとアピールしていたようだ。

自分のルーツである、客家の言葉を話せないというのは、珍しいことではなく、同じく、客家の李登輝さんも、客家語を話せないらしい。放っておくと、自然に風化してしまうのが、マイナーな言語の宿命と言うことのようである。

台湾のTV番組より 【2015.07.18】搶攻客家票源 蔡英文秀客家話 -udn tv – YouTube

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