結構、勉強はしたつもりなのに話せない 中国語アウトプットのジレンマ

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福原愛とコーチ NHK中国語会話より

一応、中国語の教室を運営しているので、たまには中国語に関する話でもしてみます。

中国語の勉強が、ある程度、進んでくると「中国語の勉強は1年くらいはやってるし、教科書は理解したつもりだが、中国人が何をいっているのか聞き取れない、あるいは上手く話すことができない。」ということを、よく聞きます。

この「教科書は理解できるが、会話になるとサッパリ」という状態。
これは主にアウトプットの問題です。

一般に日本人は、中国から漢字を輸入したり、外来語の音にカタカナであてたり、他国の文化を取り込むのは天才的である一方、逆に、アウトプットは苦手で、特に自己表現が極めて苦手な民族だと言われます。

この問題、ポイントは二つあります。
(以下、以前、雑誌に投稿したものをリメイクしたものです)

結構、中国語の勉強はしたつもり でも話せない

nhk-ai (3)福原愛 NHK中国語会話より

リスニングの問題

「結構、中国語の勉強はしたつもりだが、会話になるとサッパリ」という場合ですが、一つはそもそも、相手の言っている内容を聞き取れない、要するにリスニングの問題です。会話というのはキャッチボールなので、相手の投げるボールを受け取れなければ、投げ返せません。
日本人は、中国語に接する時、なまじっか漢字をしっているので、どうしても目に頼った学習になりがちです。中国語は全部漢字なので、日本人であれば読む分は、だいたい、意味は分かります。でも、そうやって目に頼ってばかりいると、聴く段になって、相手が何を言っているのか、さっぱりということが往々にしてあります。
その点、欧米の中国語学習者は、そもそも漢字を知らないので、耳からはいるので、リスニングは比較的良いと言われています。

アウトプットの問題

次は「相手の言っていることはわかる。言いたいこともある。しかし、どういえばいいかわからない。」という段階です。これは、惜しいところまできています。

いわゆるアウトプットの問題です。

アウトプットは難しいです。なぜなら、話すときは自分の思考回路というフィルターを通さなければならないからです。我々日本人というのは、普段、意外なほど、日本的な発想をしているので、教科書どおりの文型がしっくりくる場面は少ないのです。思考に独特の癖がある人ほど、難しいでしょう。

また、もう一つは、自分の手持ちの知識を常に総動員しなければならないという難しさがあります。あの表現が欲しいということであれば、すぐさま、自分の頭の中の引き出しからすっと出せなければ、実戦では役にたたないのです。実際の会話の速度、リズムと言うのは、非常に早いので「えーーと、あのフレーズは確か、テキストの〇ページあたりで、やったような・・・・・」とか考えていると、会話は流れてしまいます。

よく使用する表現は、常にデスクトップに

知識ばっかり豊富だけど、話すことができない人というのは、データベースに入っている情報量は、ギガクラスだが、案外、メモリーがしょぼいのかもしれません。データベースから、よっこらしょとださなければならない知識では、いくら知識があっても、実際の会話の速度には間に合わないのです。
すぐに取り出せるような知識というのは、量的には、少なくても構わないです。せいぜい、自分の脳のデータベースに詰まっている単語量の1/5~1/10で十分です。その代わり、少数精鋭で、いつでもそれを取り出せるように、しておくことが大切です。常にデスクトップにあって、すぐに取り出せる状態に、スタンバイされているかということなんです。

また常に、分類され、整理されていなければならないです。同じような表現は、同じフォルダーに入れておく、例えば、「一直(ずっと)」「常常(よく)」「有时候(時々)」「偶尔(たまに)」といった言葉であれば、頻度の副詞というラベルをつけて、同じフォルダーにしまっておくとか、そんな感じです。

実際、どのように訓練すればいいか?  実践篇

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福原愛とコーチ NHK中国語会話より

では、実際問題として、どのようにして、アウトプットの感覚を体得していけばいいのでしょうか?

場数を踏む

HSKに合格するとか、そういった試験的な目的をのぞけば、語学の勉強をする以上、中国人相手に会話ができるようになるということが、目標ではないでしょうか。

だとすれば、やはり、中国人相手にアレコレ話してみるしかないです。つまり、場数を踏むしかないということです。
「結局、それかい!」という感じですが、言葉というものは生モノなので、話してナンボという側面が有りますから仕方ありません。

もちろん、最初は、教室等で中国語の基本的な表現をインプットしなければ駄目ですが、少なくとも1年くらい教科書をやっている方であれば、既に生活に必要な表現は習っているはずなんです。
マッサージ屋でもカラオケ屋でも何でもいいですが、ローカル度高めで、日本語が通じない中国人のほうがいいかもしれません。そこで、あーでもないこーでもないくだらない話をすることで、教室で習ったことが活性化して、頭に残りやすくなります。
幸いにして、中国人は暇人が多いのか?他人の話を聞くことについては、かなり寛容です。こっちが、下手な中国語でいろいろ話しても結構、聞いてくれたりします。しかも、外来人が多い深圳は、割といい加減な普通話でも通じてしまうというメリット(デメリット?)がありますので、話すにはうってつけです。「お前、韓国人か?」「いや、日本人だ。」みたいな会話でいいのです。(最初の頃、何度と無くこの会話をした覚えが・・・)

取り止めがなくなりましたが、要は「恥をかくことを恐れるな!」ということです。その点、男性より女性の方が、面の皮が厚いからか、語学の上達が早いような気がします。
あとは、もし日本人で会話の上手な人が身近にいたら、その人の会話の仕方を聞いてみると、一番、参考になると思います。多分、特別難しいことを話しているわけではないと気づくはずです。

ある日、突然に

とにかく、中国人相手に、教室で習った表現を、何とか使う努力をしてみる。
最初は全く話せずに、もどかしい思いをするかもしれませんが「ああ、こういう場面では、この例文を使っとけばいいんだな。」とか「この表現は教室で習ったけど、意外に使えないな。」とか、そういうコツがわかってきます。

そうこうするうちに、だんだんと、自分の頭の引き出しの中から、表現を引っ張り出すこと上手になり、気がついたら、話せるようになっていると思います。だんだん話せるようになるのではなく、気がついたら、ある日、突然そうなっているのです。

付録

福原愛がNHKの中国語講座にでてます。ちょっと古く2007年ごろの動画のようです。
愛ちゃんのコーチが、愛ちゃんの印象を聞かれ「天真爛漫」と言うと、すかさず「それは違う」と突っ込みを入れたり、和気藹々とした雰囲気です。
また、ちょっとだけですが中国語の卓球用語の解説もあります。

10歳くらいから、中国と行き来しているので、愛ちゃんの中国語は、さすがにすごいです。上手いと言うのが逆に失礼なほど。
また、彼女の話す中国語というのは、中国人に言わせると、東北訛りの中国語だそうです。

福原爱 – 出演NHK中文讲座 2007—在线播放—优酷网

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