広州のリトルアフリカ「小北(しゃおべい)」に行く


「広州に、なんか、アフリカっぽい場所があるらしいぞ。」

そのような噂を聞いたのは、かなり以前のことである。

「広州にアフリカ?」

ちょっと意外な感じがしたが、それ以降、広州に行く用事もなかったので、そのままになっていた。

今回、広州の領事館で、パスポートの申請を済ませた後、一路、その広州のアフリカへ向かってみた。

小北(しゃおべい) 広州のリトル・アフリカ

向かってみたと言っても、領事館のある「淘金」駅から一駅だけ、地下鉄に乗って、隣りの「小北」駅に移動しただけのことである。

広州のリトルアフリカ(小非洲)「小北(しゃおべい)」

確かに、リトルアフリカと言われるだけあって、アフリカ人は多い。だいたい、道行く人の1-2割位といったところだろうか。しかし、アフリカ人の存在感は、半端ないので(東洋人2-3人分位ある)、実際は、それ以上に感じてしまう。

さらに、ファッションも、ド派手。金色、緑といった原色が、よく似合う。

あと、いかにもアフロなアフリカ人だけではなく、頭から布をまとった、イスラム圏の女性の姿もみかけるし、アフリカ人以外の、外国人も結構、多い感じだ。

また、街の看板は、漢字とアラビア文字が並列表記してあり、結構、調和している。アフリカ系の店の中に、サイゼリア(萨莉亚)も紛れ込んでいるが、全然、違和感がない。

レストランの入口「HALAL」「清真」という文字も見える。「清真(ちんじぇん)」は中国語で「イスラム教の」という意味。

ブルース・リーの看板とも調和している。

ただ、街全体が、エスニック化しているかというと、そういうわけでもなく、基本的には中国であることは、変わりがないし、普通に、学生とかも歩いている。

天秀大厦 アフリカ人専用ビル

駅から降りてすぐの歩道橋の脇に、いかにもアフリカ人専用のビルがあったので少し入ってみた。この天秀大厦というのは、付近でも有名なビルのようで、この中に、数百のアフリカ人の貿易会社があるのだとか。彼らは、衣類、携帯電話などの電子産品などを扱っているようだ。

ただ、平日の昼間だからか、閑散として薄暗いし、全然、活気がない。かつらや衣類の店が、一部、営業しているくらい。

液晶テレビなんかも、取り扱っているようだ。

ありえない色の下着も。

新華書店 隣接する中国人の生活

歩道橋の反対側に新華書店があったので、入ってみた。(まあ、アフリカとは何の関係もないが)

入口正面に、いきなり、共産党の読み物コーナーが、どーーんと置いてあったり、店内には、毛沢東の写真が飾ってあったり、いかにも前時代的な空気を感じさせてくれる。照明も暗く、いかにも一昔前の中国の本屋さんといった感じ。

かと思えば、別のフロアでは、アニメ「君の名は(你的名字)」?の宣伝とかが、かかっていたり。エスカレーター脇に、こんなキャラも。最近、中国の街中で、やたらよく見かけるようになった。

ちょっとテーマがずれてしまった。

イスラムの食世界  ハラルレストラン、食料品など

本屋さんを出て、次に、歩道橋を降りていくと、环市中路沿いに、アフリカ料理のレストランや、アフリカ食材専門店が立ち並ぶエスニックな一画がある。

イスラムレストランの前で、チャドルをかぶった少女が、携帯を眺めながら座っている。ここでも「HALAL」という文字が、目立つ。

さらに、道なりにあるいていくと、売店が在って、アフリカ人の男(右側)と、中国人店主のおばさんが、値段交渉している。といっても、男は、中国語を話せないので、二人は終始無言である。

アフリカ人の男が、商品の値段を聞く。すると、店のおばさんが、手持ちの電卓をはじいて、男の前に突き出す。男が、ダウンダウンというゼスチャーをする。すると、おばさんが、嫌そうな顔をして、電卓を叩いて突き返す。その繰り返し。

この炎天下の最中、言葉もかわさず、延々とそんなことをやっている。

これが、広東人が言うところのいわゆる「鶏と鴨の会話」ということか。中国人とアフリカ人。なにか、かみあっているのか、かみあっていないのかわからないような、不思議な風景だ。

リトルアフリカ「小北」の成り立ち

広州は、「チョコレートシティ」「第三世界の首都」という別名もあるくらいアフリカ人(非洲人/ふぇいじょうれん)が多い街である。

現在,広州にいるアフリカ人は、公式には2万人弱(広州の人口が約一千万人として0.2%)であるが、実際は、不法滞在者を含めて、20-30万人はいるともいわれている。

しかし、そもそも、何故、広州に、こんなにも、アフリカ人が集まってしまったのだろうか?以下、少し、広州のアフリカ人について、調べてみた。

ちなみに、中国では、アフリカ人のことを、普通に「黒人」と呼んでいる。「黑人牙膏(黒人歯磨き)」というのが、あるくらいなので、大して差別とも思っていないようだ。

そもそも、どうしてアフリカ人が広州に?

「何故、広州に、こんなにも、アフリカ人が集まってしまったのか?」

この点については、自分のような外国人ばかりでなく、中国人自身も不思議に感じていることのようだ。ウェブサイトの記述によれば、90年代中頃、広州交易会(写真)などを通して、アラブ商人などの後をうけて、やってきたのが、アフリカ商人だった。

彼らは、気候が温暖かつ、開放的、歴史的に外国人に開放的な都市である広州に、次第に、定住化していく。

また、中国の高度経済発展を背景に、06年に中国政府が発表した「対アフリカ政策文書」による、アフリカ重視の政策もあり、チャイナドリームを夢見て、一攫千金を狙いに来るアフリカ人は、さらに増えていくことになる。

(しかし、何故、広州であって、深センではないのだろう?深センは黒人を、あまり見かけない。)

三非」アフリカ人に対する管理を強化


そうした、アフリカ人は、大抵、1-2ヶ月の短期ビザで中国にやってきて、期限が切れた後も、引き続き、中国に残留するので、不法滞在者がどんどん増加する。

さらに、そういった不法滞在者のなかには、麻薬の売買や売春に手を染めたりするものもいるため、治安は悪化。

中国人住民との間に、トラブルも絶えず、中国当局が、いわゆる「三非」アフリカ人に対する管理を強化しだすことになる。

三非」とは、不法入境(法入境)、不法滞在(法居留)、不法就労(法就业)(写真は、広州の隣り東莞の刑務所)

広州アフリカ人 事件

ちなみに、中国人とアフリカ人の小競り合い的な事件は、日常的に起こっているようだ。以下のような、大規模な事件も、あったようだ。
2009年7月13日、広州の白雲区広園西路付近において、警察が、不法滞在のアフリカ人に対し、パスポートの提示を求めたところ、その男が逃げて、建物の上から堕ちて、死亡したのがきっかけとなり、数百人のアフリカ人が、派出所を取り囲むという事態に発展、警察が出動し、鎮圧したという事件。

黑人上街追踪报道:广州警方公布事件真相

アフリカ人の減少 経済的な要因も

こういった事件を引き起こしつつも、当局による「浄化」によって、不法滞在のアフリカ人は、本国に帰国せざるを得なくなり、広州のアフリカ人の数はだいぶ、減ったようだ。

また、それとは別に、中国経済の低迷、中国商品の高騰に加え、米ドルのレートの上昇で、仕入れのコストが増大し、利益が上がらなくなってきたこともあり、アフリカ商人のなかには、新たな市場を開拓するべく、広州以外の中国、あるいは中国以外の国へと移動しだしているようだ。

(彼ら本国のお金は、人民元とは直接、兌換できないので、先に米ドルに交換してから、中国に持ち込む必要があるので、米ドルとのレートに左右されてしまう。)

広州のアフリカ人の日常 動画

以下の動画は、中国で働いているアフリカ人について、彼ら自身の視点から描いている。チャイナドリームという理想と現実の中国生活とのギャップに苦しむ姿が見えてくる。


【财新微纪录】广州黑人影像调查1:非洲人来了 – YouTube

「小北」とその他、広州のアフリカ人街

小北

今回は、時間がなくて、地下鉄駅周辺しか、回れなかったが、「宝汉直街」など、かなり濃密な生活区もあるようだ。また、その他のアフリカ人街については、最後に少し触れている。

三元里


広州火車駅から三元里あたり。
かつて、アヘン戦争中の1841年、上陸した英国軍と地元住民が 武力衝突した場所として知られ、中国政府に「愛国主義教育」拠点にも指定されている場所であるが、現在は、新たな外国人勢力である、アフリカ人との対立が発生している。
三元里の多くのアフリカ人は、白雲区の日の当たらない狭い部屋に、往々にして十数人の黒人が一つの部屋に暮らしているという。
昼間は眠って、夜になると起き出し、アフリカ人か中東人の店で、アルバイトをして、警察の居留証捜査から逃れている不法滞在者も多いようだ。

番禺

番禺」にも、アフリカ人居住区があるようだ。彼らは、比較的良好な居住環境の中で、中国人と共存し、定住しようとする意欲のある家庭が多いという。

石室教堂

地下鉄「一德路」「海珠广场」駅にほど近い、石堂教堂では、毎週日曜日午後になると、三元里、小北路、东圃、番禺などから、アフリカ人キリスト教徒がやって来て、ミサ(弥撒)を行い、同胞たちと語り合うという。

また、石室教堂で働き、初めて中国に来た同胞に対して指導をしたり、賛美歌の合唱隊として活動をするものもいる。多くのアフリカ人にとって、ミサは、広州で孤独な生活を過ごす中で、最も感動的なひとときだという。

そのあたり、神と直接つながっている、アフリカ人や欧米人というのは、少し、羨ましい気もする。日本人の場合、孤独というのは、文字通り孤独でしかないからだ。

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