起業をしようとするとき、誰しもが考えるのが、自分の好きなことを仕事にしてみたいということではないでしょうか。
「好きを仕事にする。」 なんともいい響きです。
しかし、世の中、そんなに甘くはありません。自分の好きなことだけをやっていて、飯が食えるのであれば、皆、とっくの昔にやっているはずですが、そうはなっていません。大部分の人は、相変わらず、やりたくもない仕事をやって、お金を得ているのではないでしょうか。
自分の例で恐縮ですが、自分個人は学習したり、教えたりするのは割と好きだったので、スクール経営をし始めたと記憶しています。(だいぶ前の話なので、もう覚えていないですが)まあ、一種、好きなことで起業をしたはずなのですが、当初は、イマイチ、しっくり来ませんでした。
なぜかというと、自分の業務というのは、基本的に、生徒と先生をアレンジするだけで、交通整理をしているようなもので、それ自体はあまり面白いものではないからです。
あくまでも、主役は、講師と生徒であって、自分自身は裏方でしかありません。なので、結構、ストレスが溜まります。
要は「自分が語学を勉強して楽しい。」ということと「顧客に満足感を与えられるような授業を提供して、喜んでもらう。」ということは、同じ語学という対象を扱っていても、全然次元が違う話なのです。
まあ、そんなことは、仕事をする人間であれば、当たり前ですが、自分が好きな分野のことであるから、そういうことに気が付きにくいのです。
ただ、その後は、だんだんと、自分の意識も変化してきて、生徒の満足を見て自分も満足できる、というあるべき姿になっていきました。
このギャップを埋め合わせるためには、ある程度、時間がかかると思いますし、それができない人は、「好きを仕事にする」独立というのはやめたほうがいいと思います。
以上は、自分の例ですが、こういうのは、商品・サービスに対して、こだわりや思い入れが強ければ強いほど、そのギャップに、ストレスを感じてしまうかもしれません。
例えば、旅行好きの人が、旅行代理店を始めたり、酒にこだわりがある人が、バーを始めたりするときなども、こういう類のストレスを感じるかもしれないということです。
そういう方は、自分のこだわりはこだわりとして、趣味的な範囲にとどめておいて、客に提供するものとしては、もっと枠組みを広げて、一般的なモノやサービスを提供するということを考えてみるのがいいかもしれません。
もっとも、今は、YOUTUBEとかツイッターなどSNSもあるので、自分のマニアックなこだわりが訴求できるマーケットで何とかやっていくことは、できる世界になってきているのかもしれません。
しかし、一見好きなことやっていて、再生数を伸ばしている人でも、実際のところは、自分の本当にやりたいこととやるべきことのギャップを、意識的になれている人ではないかと思います。
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