先日、日本に住んでいる中国人の知り合いから、久しぶりに連絡がありましたが、
聞けば、今、とある日本の会社(というか店舗)で仕事をしているものの、辞めるかどうか悩んでいるようでした。
その職場(サービス業)の職務内容が微妙すぎて、将来的にあまり役に立ちそうにもないということです。
ちなみに、彼女は、以前、自分の教室で中国語の講師をしていたことがある人で、日本の大学に留学した後、そのまま日本で就職していて、日本には、かれこれ7年在住しています。あまり中国に帰るつもりはないらしく、できれば、日本で永住権が取りたいとのことです。
ただ、永住権は10年以上日本に在住して、なおかつ、年収300万円以上の職に5年をクリアしなければならず、申請条件の10年にあと3年というのと、さらには、転職したとき300万円以上もらえる仕事につけるのかどうかわからないので、その点で悩んでいるようでした。
「いっそ、国籍を変えたほうが、いいかなあと思ってるんですけど・・・」と国籍変更も視野に入れているようです。
「えっ、国籍変えちゃうの?」と少し驚きましたが、これは、日本の制度が、永住権をとるよりも、帰化するほうが簡単だからです。永住権は、在留期間10年以上が必要ですが、帰化なら5年以上で済んでしまうらしいです。要は、単純に、日本人になってしまうほうが早いということです。
その後も「中国にいて、日本のパスポートで、困ることはありますか?」とか、いろいろ質問を受けましたが、どうも、日本に帰化したとき、中国の身分証を失うことになるので(中国は二重国籍を認めていない)日本から中国に戻ってきたとき、不便になるのでは?ということを、心配しているようでした。
なんか、悩みがえらく現実的と言うか「国籍を変えること自体に、悩みはないんかい!!」という感じでしたが。
この点、思うのですが、中国人(特に女性)は、国籍を変えることにあまり抵抗がないようです。彼らは、たとえ日本国籍になろうが、アメリカ国籍になろうが、自分は中国人であるという意識は、いささかも揺らぎが無いみたいですね。つまり、どこの国籍であろうが、自分は中国人ということらしいのです。
これが、いわゆる華僑マインドなのかは知りませんが、我々、日本人とは国籍観がかなり違うと感じざるをえません。これが、香港や台湾とか政治的に不安定な地域の場合は、もっと戦略的に、兄弟を外国に移住させたりして、リスクを分散しておくというような意味あいもあると聞きます。
一方、日本人の場合、「日本国籍をなくす」のと「日本人ではなくなる。」のは、ほぼイコールだと思います。なので、日本国籍をなくしたときの喪失感は相当大きいだろうと思います。たとえ、自分では日本人だと思っていても、周囲の日本人から、そうは思われないでしょうし。
ただ、日本人の場合は、今のところ、国籍を変える理由がないし、変える人は、かなり少数ではないのかなと思います(特に男性は)。自分にしたところで、あと何年、海外にいられるか知りませんが、日本国籍を変更することは考えにくいですし。
ただ、それは、これまで、日本という国が、政治的、経済的に安定していたからということに過ぎないのではないかとも思っています。かつては、日本もブラジルやアメリカといった国に移民する時代もありましたし、今後、絶対にそういう時代が来ないとはいいきれないというか。
最近は、カナダやオーストラリアなどを目指すという若者も増えているそうですが、やはり、国力が落ちてくると、どうしても、そういう流れになってくるのかなと思います。
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