実は、自分は中国に来て、いきなり独立したわけではありません。
独立する以前、深センの中国ローカルの企業に三年間、働いていたことがあります。まあ、外資といえば外資ですが、個人経営の小さな会社です。
また、中国の会社といっても、自分は日本人ですので、もちろん日系企業に対する窓口としての仕事でした。ただ、社内は完全にローカル文化で回っているので、中国人上司と日系企業との板挟みというものも多々あり、非常にストレスフルでした。
まあ、自分にとっては、黒歴史?のような三年間でありましたが、いい経験をさせていただいたとは思っています。(これだけで、一冊、本が書けそうです。)
以下、その時、中国の私企業で働いた経験をもとに、中国企業の特徴について感じたことを、いくつか、書いてみたいと思います。
中国のローカル会社で3年働いてみて感じた、中国企業8つの特徴
1 結果主義
中国の会社は、基本的には、結果主義です。日本では、人に対して給与を出しますが、中国では、結果(成果)に対して給与を支払うといっていいかと思います。
上司は、はじめガイドライン的なことを言ってからは、ほとんど仕事のことでとやかく言うことはなかったです。自由放任というか、悪く言えば、ほったらかしです。とりあえず、自由にやらせてみて、結果がでればそのまま雇用し、結果が出なければ、即くびといった感じでしょうか。その点は、かなりドライな感じでした。
結果主義なので、極端な話、営業中に喫茶店でお茶を飲んでいようが、その辺をぶらちゃらしていようが、会社に利益をもたらしていればOK。逆に、いくらやっている感をだしでも結果がでていなければ駄目。ある意味、非常に合理的です。
2 トップダウン
中国では、アリババのような大企業から零細企業まで、オーナーによるトップダウンが基本です。日本のような、ボトムアップでコンセンサスを得て、ということはあまりないはずです。そのため、決断から実行までが、非常に早いです。
あと、トップの権力が強すぎるのか?、老板(社長)に対して、面と向かって物申す人があまりいません。そのくせ、かげでこそこそ、抜け道を考えているようなところがあります。
3 法より人
よく中国は、法治国家ではなく、人治国家だと言われますが、これはどの組織でもそうで、法律(規則)もまた、人間が作ったものだから、その時々の状況に応じて、変えていけばよいというのが、彼ら中国人の考え方のようです。
特に、小さな会社は、老板自身がルールブックというようなところがあり、朝令暮改を地で行くようなところがあり、振り回されることもよくあります。思いつきで何かをはじめて、駄目であれば、すぐ撤回という感じです。(発票を集めてください。→社員、猛反対 →撤回とかのぐだぐだ)
そういった彼らの態度というのは、よく言えば臨機応変、悪く言えば出鱈目のような気がします。
4 時間感覚
また、時間というものに対する感覚も違います。
例えば、先方にアポイントを入れると、向こうの担当が中国人の場合「ああ、いつでも来てください。」みたいな感じなので訪問してみると、担当は、ほとんど電話ばかりしていて、こちらの話をまともに聞いてくれなかったりとか、ありがちです。
日本の会社のように、時間15分前には、待機してとかいう感じではないです。また、遅刻などにも、割りとおおらかなところがあります。数分程度は誤差と思っているフシがあります。
5 実質主義
中国は何でも実質主義で、日本のような形式的なことをあまりしない傾向にあります。
例えば、挨拶なんかがその典型ですが、中国ローカルの会社では、あまり、日本のように、しっかりとしたあいさつはしません。
出勤時は「早(ざお)」、退勤時は「走了(ぞうら)」これだけ。それすらも言わず、無言で立ち去っていく社員もいます。(まあ、日系企業だとさすがに挨拶はするとは思いますが。)
慣れないうちは、疎まれているんじゃないかとか思ったりしますが、そういう文化なので、しょうがありません。
6 性差が少ない
中国というのは、社会全般通じて、男女の性差が少ないと感じます。そもそも、中国語というのが、男女の区別がないので、余計にそういう印象があります。
また、中国女性というのは職業意識が強く、専業主婦になりたがらない傾向があります。
中国の会社というのは、会社に利益をもたらしてくる人間であれば、女性であろうが、老人であろうが誰でもいいという考え方ですので、どんな人間でも、一旦は採用してくれる確率は日系企業より高いと思います。(ただもちろん、結果が出せなければ、即くびですが・・・)
ただ、昨今、中国も不景気ですので、状況は変わっているかもしれませんが、それでも実力があるのに、年齢や性別で門前払いされるような人にとっては、中国ローカル系企業への就職もありかもしれません。
7 労働者の権利が強い
中国では、労働者側の権利が強いし、守られているという印象があります。
残業する場合は、時給は割増になるはずですし、有休もきっちり使います。少なくとも、日本のようなサービス残業というのはありえないし、そのあたりはやはり社会主義という感じがします。
ちなみに、いわゆる「996」問題とかで指摘される、ハードワーキング層についてですが、彼らは、大手ITとか、Eコマースなど競争が激烈な業界にいて、かなり高給取りの部類に属する人たちではないかと、個人的には推察しています。そういうトップ層が、24時間働けますか状態になるのは、しょうがないと思うし、日本のブラック企業(薄給なのに拘束時間が長い)とはまた次元が違うと思うのです。
8 戦略的
中国というのは、国もそうですが、人も組織も、何事に関しても、作為的、戦略的に動くように感じます。どんな行為にも、必ず理由があるので(たいていは、金銭に関すること)、ある意味、わかりやすいです。
逆に、日本人というのは、何を考えているのかわからないところがあり(岸田さんとか、いったい、何を考えているのかわからない)他国からすると、つかみどころがないところがあると思います。
以上、思いついたまま、書いてみました。
今後、日本人労働者も、中国系企業他、外資で働く機会も増えてくるかもしれません。そんな時、やはり日本の企業文化と違うので違和感を感じることも多いと思います。
それをストレスとして溜め込まないためにも、そういう文化的な差というものを、あらかじめ知っておくと、少しは軽減できると思います。(まあ、わかってはいても、ストレス、たまりますけどね。)
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