钉子户 抵抗する中国人
中国には、そもそも、個人が土地を私有する権利というものがない。したがって、基本的に、自分の住んでいる土地が、区画整理の対象になって、「出て行ってくれ」といわれれば出ていかなければならないはずである。
しかし、そうは言っても、やはり人間であるから、自分の住んでいる場所には、愛着があるのも道理で、なかには、最後まで、立ち退きを拒否する人間もいたりする。いわゆる「钉子户(ディンズフ)」という人たちがそれで、钉子は、釘(くぎ)のことであるから、打ち付けられた釘のごとく、立ち退かないということのようである。
そういえば、日本のバブル時代、地上げ屋が跋扈していた時、同じような話があったが、中国の場合も、それなりにドラマチックなようである。
重慶 史上、最も「牛」な钉子户
こちらは、重慶にて。文字通り、崖っぷち、絶海の孤島 のごとき様相を呈している。钉子户で検索をすると、一番、よくでてくるので、多分、最も、有名な事例なんだと思うが。
これが、いわゆる「史上最牛的钉子户(史上、最も「牛」な钉子户)」で、「牛(ニウ)」というのは、俗語で、電子辞書にも載っていないが、梃子でも動かないという様子を、牛になぞらえているのかもしえない。
「公民の合法的な私有財産は侵犯を受けず!!」というスローガンが見える。しかし、そもそも、私有財産が認められていない中国では、政府から「立ち退け」と言われれば、立ち退かなければならないはずであるが、土地の使用権をたてにして、粘っているということか。
重慶には、軽軌と呼ばれるモノレールが走っているが、ここが、ある駅の建設予定地のようである。この写真が出回ったのが2007年で、2004年から不動産開発業者は、移転の告知をしていたようで、その後、周囲の280世帯が移動しても、この一軒だけが動かず、結局、住民との間で、二年半かけて、ようやく和解が成立したとの事。
工事現場の全景。中国では、こういうふうな巨大な穴が、ある日突然、自分たちが日常歩いている、生活道路のすぐ傍に、忽然とできてしまう。普通に歩いている道路と、ベニヤ板を隔てた数メートル先に、深さ十数メートルくらいの穴が、ぽっかりと空いているという状況。中国のビルは、巨大であるからしょうがないが、ちょっとそら恐ろしさを感じてしまうのは自分だけであろうか。(それこそ、こんな巨大な穴の中に埋められでもしたら、もう行方しらずである。)
ちなみに、中国のビル建設は超高速である。建設が決まるや否や、あっという間にゴーストタウンになり、あっという間に、大きな穴が出来、あっという間に、ビルが建っていたりする。そのスピードたるや、シムシティ並みである。おそらく、安全よりスピード重視で、工事を進めてしまうのだろう。
浙江省 路の真ん中でがんばる
「無駄な抵抗はやめて、速やかに・・・・・・」 行政代執行が始まる
同じく、道路の真ん中パターン
長沙 一軒家
百貨店の広場の真ん中に、こんな掘立て小屋が一軒・・・・・・・
長沙でもかなりの一等地であるらしく、家主がかなり強気で、金額で折り合いがつかないようである。中国人の場合、こういう行動をとる動機は、大抵が、金であることは、いうまでもない。
拆迁三年未能拆除 长沙“最牛钉子户”矗立南门口_湖南频道_红网
広州 高速道路の中でも
墓も抵抗
ビルの基礎工事の現場。うずたかく土が盛られている。しかし、肝心の家は見当たらない。
よく見ると、家ではなく、墓が見える。故人の家族が抵抗しているのだろうか。これでは、心情的にも、どかしにくいだろう。
横から見た図。 しかし、このように、モンブラン状態になるまで、土を削り取って、危ないと思わないのだろうか?そのあたりの中国人の感覚というのは、謎である。
深圳 最も高い钉子户
ここは多分、深センの京基100の建設予定地(すでに建設済み。)ではないだろうか。のちに、1700万元(2―3億円)という破格の補償を受けた後、家主夫婦は離婚したとのこと。結構、ま新しいビルに見えるので、もしかしたら、建てたばかりだったのかもしれない。
戦う钉子户
ある钉子户。ファイティングスタイルを崩さない、いかにもな頑固親父。中国の憲法などをたてにとって、行政の横暴を訴えている。このくらいの年齢になると、もう補償金の問題というよりは、住み慣れた土地を離れたくないという、そういうことなんだろうと思うが・・・・
しかし、どうして中国人は、新聞でもウェブサイトでも、字をびっしりとつめて、書き込むのであろうか。不思議である。会話も同じで、彼らの会話というのは、日本人のように間を多様しない。
広州の钉子户
まさに自分の家が取り壊されようとする現場に、突っ込んでいこうとする、家主のおばちゃん。気持ちは、わからなくはないが、まあ、どうしようもないだろう。しかし、こういうのを見ると、彼らと日本人との感情表出の仕方の違いを思わざるを得ない。
现场:广州杨箕村拆“钉子户”_资讯频道_凤凰网
山東省 黒板アートな钉子户
水と電気を止められ、すでに四ヶ月になるが、訴えても全く改善されないらしく、家主が、黒板でもって、抗議をしているとのこと。しかし、この家主、なかなかの達筆で、色チョークを、最大限駆使して、一種のアートともいえなくもない。中国は漢字の国であるから、まあ、驚くにはあたらないのかもしれないが・・・・・
何時になったら、再び、光明を見出すことが出来るのか? イラスト入り。
その他の钉子户
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