今年の日本は、例年になく、台風が多い年だったと聞いているが、広東省の方も、やはり、台風が多かった。
特に、9月の22号は、かなり大きく、自分もこちらへ来て十数年になるが、間違いなく最大だったと思う。
ある中国人に言わせると、高層階で揺れを感じたらしいが、中国の高層ビルで揺れを感じるというのは、想像するだに恐ろしい。
その22号が通過した後の様子を、少し写真におさめてあるので、今更ではあるが、以下、ちょっと紹介してみたい。
台風前日から翌朝
台風前夜は、南からのむっとするような湿気を含んだ、台風の予感は十分に感じさせる夜だった。ただ、警報はでてはいたものの、「ちょっと風が強いかなあ。」くらいのもので、まさかこんなに大きいのが来るとは思ってもみなかった。
それが、一夜開け、明け方から、風と雨がきつくなり、正午前には、暴風と豪雨に変わった。
とてもじゃないが、授業はできないと判断し、教師と生徒に休校の旨を連絡。バス、地下鉄など交通機関は、すべて運休状態で、自分も部屋の中に缶詰状態になる。
今回の22号は、確かに、かなり大型の台風で、マンションの中にいても、ちょっと恐怖感を感じさせるくらいの風の強さで、日本の台風に慣れた自分でも、恐ろしさを感じるだった。
窓の外では、トタンが紙切れのように舞い、ビルに叩きつけられた雨風が、滝のごとく、下に堕ちていった。あと、電気の供給が不安定なためか、停電が何回もあった。
台風一過 夜の「国貿」付近
夜になって、暴風がやんできたので、外に出てみた。といっても、まだ雨と風が強いので、かさを持って歩くのがやっとというところ。
暗くて、状況がよくわからないが、あちこちで、折れた木やゴミが散乱している。大通りには、倒れた木が、真っ逆さまに、道を塞いでいる。結構、シュールな光景だ。
木っ端と発泡スチロールが散乱、どうやったら、こんなになるのか不思議。
折れたヤシの枝が、歩道に散乱している。ヤシの枝は割と折れやすいが、それでも、こんなに大量なのははじめてのことだ。
HSBC銀行のATMのガラスが、割れて散乱している。さすがに風だけでは、こうはならないだろうから、倒れた木にでも当たったのであろうか。
オレンジ色の防水服を着た職員が、道に倒れている木を、路肩に寄せている。
朝から、室内に缶詰状態で、ろくなものを食べてないので、なにかやっている店が無いか探してみると、ローカルの茶餐厅が営業していた。マクドナルドやウォルマートでさえも営業してないのに、さすが茶餐厅、商魂たくましすぎる。しかし、案の定というか、中国人が殺到して、入るのを諦める。
まだ雨が降っていて、風も強いので、今日のところは、このくらいにしておく。
一夜明けて 「国貿」付近の様子
翌朝、お昼を食べがてら、近所の国貿駅付近にでかけてみると、街は、前夜に比べ、かなりスッキリした感じになっている。
シェア自転車は、もちろん、こんな感じ。シェア自転車であるが、最近、ゴミの山のように、打ち捨てられていることが多くなった。
街路樹は、かなり倒されていた。木の真ん中あたりから折れているのもあれば、根元から、ごろんと横倒しになっているのもある。
折れた木は、しょうがないので、道の真ん中とか、路肩に置きっぱなし。この点、中国は道が広いから、都合がいい。
こちらは、歩道を覆うように、倒れ込んでいる。中国人は木をまたいだり、迂回したりしている。
どうやったら、こんな隙間ばかりの構造物が横転するのかが不思議。しかも、中央のラインからかなりずれている。風だけでこんなになるとは考えにくいので、倒れた街路樹があたったのだろうか。そういえば、暴風のとき、ドーンという大きな音がしていたが、これが倒れる音だったかもしれない。
処理の方は、まずまず、進んでいるようだ。
前夜からの復旧活動のため、大通りを塞いでいる木については、大方、路肩に寄せ得られていた。
大きな木は、すでに丸太状に伐採されている。このあたりは、やけに手際がいい。チェーンソーをもった軍団がやってきて、かたっぱしから、伐採していく。しかし、回収は二の次で、とりあえず放置。
道は広いし、とりあえず、交通に支障がなければ、それで良しというのが中国流。
突風によって、剥がれ落ちた薄いパネルや、ガラスなどは、廃品回収業者が、リヤカーで集めて、右往左往している。まさか、彼らが、街の掃除をしているだけではないだろう。
廃品回収は中国の得意分野。彼らは、お金が絡むと、すごいエネルギーを発揮する。
マクドナルド店内。ガラスこそ、割れてなかったが、天井などが破損しているところは、立入禁止。
緑化計画の植樹がアダに?
今回、歩いて被害状況を観察していると、根元から木が倒れているのを、やたらと見かけた。こちらは、地下鉄「竹子林」駅を降りたところ。
労働局の園内。この赤土が、いかにも、最近、植えました的なものを感じさせる。
もちろん、風が強すぎたということも言えるが、思うに、これらは、植樹したばかりの木であるような気がしてならない。
というのも、このところ、深センは、町並みの緑化するために、お得意の人海戦術で、かなり大量に植樹していたからである。まだ根が張り切っていないそのときに、今回のような大きな台風がくれば、根元から、倒れてしまうことになるのは、道理である。
台風、その後につき 放置プレーも
さて、その後であるが、案の定というか、路肩に残った、木や瓦礫が、そのまま放置されているところがめだった。迅速に処理していたのは、2-3日のことで、一通り、木を解体して、路肩に寄せると、あとは、野となれ山となれ状態である。
まあ、交通に支障がないから別に構わないのであるが、結構、見苦しいことは見苦しい。一部の木は腐敗し始めているし、そこに、大型ゴミだの、一般ごみだのが加わって、実際、ゴミ溜めと化しているところもあった。「いったい、いつまで、放置しておくつもちなんだろうか。」と思ってしまうが、一向にかたずける気配もない。
中国人はというのは、何というか、眼の前にある自分たちに差し迫ったことは、速攻に解決しようとするが、特に影響がないものについては、全くやろうとしない。
テキトーというか、ご都合主義というか、とにかく、それが大陸気質なんだろう。
これが、日本だったら、どんな場所であれ、全部かたずけて、元の状態に直そうと務めるのが普通ではないだろうか。場所がないというより、そうしないと、気持ちが悪いからである。景観の問題もあるし、衛生上もよろしくない。
そうした不満を、自分の身近にいる中国人に言ってみても、どうせ「それがどうした」的な態度を取られてしまうのがオチなので、もう言わないが、日本人的には、いつまでたって慣れないし、慣れたくもないと思っている。
まあ、この展開は、もはや当然の成り行きすぎて、驚きもしないわけで・・・・