昭和という言葉が、一種の懐かしさをもって語られる世の中となってしまったのはいつ頃からなのだろうか?いわゆる昭和というのは、だいたいが、1960-80年代の高度経済成長時代の日本のことを言っているのだと思うが、実際にその世代に生まれ育った自分自身としては、「昭和って、そんなによい時代だったっけ・・・・」と逆にそう思わされてしまうほどだ。
まあ、平成に入るやいなやバブル崩壊で、その後、全く日本経済は横ばい状態であるから「昭和(あの頃)はよかった」となるのも無理は無いのかもしれないが、個人の話で言えば、別にその時代がことさら良かったという思い出はない。過去と言うのは往々にして美しく語られやすいということもある。
一方、翻って中国。日本が昭和を謳歌していた60年代、70年代というのは、社会主義ど真ん中時代で「文化大革命」の嵐が吹き荒れていた時代である。その当時の革命的雰囲気を伝える映画などは山ほどあるが、以下は、その最たるものと言えるであろう。
紅色娘子軍
1970年製作、文化大革命時代に上演を許されてていた8作の共産主義模範舞劇(ミュージカル)のひとつであるが、あの毛沢東主席もお気に入りの演目だったとか。
「海南島で中国国民党につながる反動地主の横暴に対して立ち上がった女性農民が、紅色娘子軍を組織して反動地主を打倒する姿を描いた。」という、いかにも革命劇という単純なストーリー。しかも、せりふが無いので見てるだけでも大体わかる。
紅色娘子軍 全編動画
見れば大体わかる。ただ、前半は物語の伏線なので、物語の動き出す後半(第4場以降)から見れば十分だろう。
凤凰涅槃 芭蕾舞剧《红色娘子军》(高清版) – YouTube
凤凰涅槃-芭蕾舞剧《红色娘子军》(70版 最新制作 2014-10)土豆
紅色娘子軍 – Wikipedia
紅色娘子軍 百度百科(中国語)
動画・あらすじ
見た印象、とにかく革命劇がこんなに躍動感あふれるものであるとは思わなかった。これは単なるプロパガンダではなくエンターテイメントといってもいいかもしれない。個々の役者の動きの切れがすごく、今見ても斬新で本当に笑ってしまうほどすごいのである。
以下、各場面ごとに、まとめてみた。(動画は、結構、削除されることが多いので、もしかしたら、見れない動画もあるかもしれい。)
第一場
悪徳地主、南霸天に囚われの身となっていた琼花は、紅軍娘子軍の代表、洪常青に、救い出され、ともに戦うことを誓う。 洪常青と琼花「いざ、我々とともに!」
第二場
紅色娘子軍の大会にあらわれた琼花は、皆から歓迎を受ける。琼花は「打倒南覇天」の標語を見て、入隊を決意する。
红色娘子军-娘子军操练—在线播放—优酷网,视频高清在线观看
バレーダンサーによる群舞が圧巻。さらに、主演男性(京劇の役者さんかな?)の動きの切れが、神としかいいようがない。
京劇の見得を切る
第三場
悪徳地主、南霸天の屋敷の晩餐会。自ら、豪商を装い潜入する洪常青は、娘子軍と示し合わせて、一気に、南覇天を壊滅する作戦であった。しかし、琼花は個人的な感情に任せて、南を銃で撃ってしまい、南を逃してしまい当初の計画が狂ってしまう。 洪常青
第四場
琼花は、自らの行いを懺悔し悩み、その後、覚醒して一人踊る。共産主義の教義とクラシックバレー?の取り合わせがなんともいえない雰囲気を出している。
芭蕾舞剧《红色娘子军》全剧 第四場 _土豆
共産党思想の講義、「只有解放全人類、才能最後解放無産階級自己(全人類を解放してこそはじめて、無産階級の自己を開放できる。)」というスローガン
覚醒する琼花
自己反省する琼花に対して、洪常青と副官は、陰ながらそっと見守っている。
「そっとしておいてやろう」
「今は時間が必要だ。」
自己反省中の琼花
突如、覚醒
踊る琼花
二人同時攻撃
標的は、もちろん国民党の蒋介石?
「副官殿、やったであります!」
「おいおい君たち、ほどほどにしてくれたまえよ。」
南洋の風景 コミカルなシーン
快乐的女战士(芭蕾舞剧《红色娘子军》) – YouTube
和気藹々とした隊員たち、針子をする隊員も
第五場
国民党軍との戦い。戦闘シーンが主体。躍動感あふれまくり。
红色娘子军-第五场 山口狙击.英勇杀敌_土豆_高清视频在线观看
この構図は、革命劇には欠かせません
「同志よ、あまり無茶しては駄目です」
敵にとどめを差す
雷が落ちて仁王立ちの洪常青、シュールすぎ
過場(第五⇒⇒第六)
群舞。何なんだろう、このテンション。もはや言葉がない。爆音注意
第六場
南霸天は、洪常青に対して、娘子軍の退去を命令させようとするも拒否させる。洪常青は火あぶりの刑にされる。
燃え盛る火の中で、洪常青、もはや超人の域に。
娘子軍は南覇天を倒し、村を解放したものの、洪常青を失った琼花たちは悲嘆する。
ついに南覇天を追いつめた琼花
隊長どのに、黙祷
いざ行かん
前進!前進!
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