「潮江春」で飲茶三味
湖南料理を食った翌日、客人が、香港に移動する前に、ちょっと時間があるようだったので、
「じゃあ、飲茶(ヤムチャ)でもどうですか?」
と提案したところ、客人は、一も二もなく賛同。
「ヤムちゃいましょう。」
ということで訪れたのは、深セン羅湖の陽光ホテル二階にある「潮江春(チャオジャンチュン)」
飲茶をしに、イザ「潮江春」へ
私自身、広東省にいながら、飲茶は来客があったとき、ごくたまに行く位だが、深センにも、おいしい飲茶は結構ある。というより、香港などよりぐっと安いので、むしろお薦めなのである。
この日、お昼過ぎに行くと、番号札を渡され、少し待つように言われる。
いつも混んでいるので、このあたりは計算済み。
ゴージャスな雰囲気が漂うエントランス
店構えがすごく、かなり高級そうな感じがするので、客人は少し気にしておられたが、実はそんなにたいしたことはない。中国では、入れ物がひたすら立派というのは、よくあることである。(ただ、ディナーはさすがに高いと思うが)
まずはお茶を注文
内部はひたすら広い。7-8人座れるような円形のテーブルが、20脚以上はある。
先ずは、お茶の種類を聞かれるので、適当に頼んでみる。
「普洱茶(プーアル茶)」を注文。といっても、あとは「铁观音」か「龍井」くらいしかしらないのだが。
しばらくすると、お茶が運ばれてきたので、先ずは「洗碗」とばかりに、三人して、じゃぶじゃぶ洗ったわけであるが、洗い終えた後、
言われてみれば、確かに変だ。
「店員が間違えたんじゃないの。」
「いや、サービスで二つあるんじゃないの?」
とあーでもないこーでもないといいつつ、中を調べてみると、もう一つのポットの中にお湯が入っていることが判明。要するにこのお湯で洗えということなのだ。
まあ、もうお茶で洗ってしまったのでしょうがないが、訳知り顔に話していると、後で大恥をかくことになる。
点心の注文は、少しばかり想像力が必要
「飲茶」と言ったところで、お茶は主たる目的ではなく、実際は点心(ディェン・シン)を、食べることがメインであることはいうまでも無い。
点心は、一般に、服務員が注文をとりに来るのではなく、オーダーシートに自分でチェックを入れて、渡すだけとなる。
といっても、長ぼそい、短冊のようなものにびっしりと小さな漢字でかかれているだけなので、外国人にとっては注文するだけでも、一苦労である。ただ、ワイワイ言い合いながら、注文するのも、なかなか乙なものである。
メニューは「蒸、揚、甜・・・・」などという、大まかなジャンルに分かれているので、これは蒸し物、これは揚げ物、というふうに、大体分かるのであるが、個別になると、さっぱり分からない。
乏しい漢字の知識と想像力を発揮して、自分の食べたいものを類推していくという、ほとんどパズルを解くような感覚である。
ただ、こういった店では、中国人でも出てくるまで、どんなものなのか、完全に分かるものではないそうであるが。
値段は書かれておらず、その代わりに、「小、中、大、美、潮、特」(大体こんな感じ)のような階層に分かれている。
要は、これが、回転寿司の皿の色のような役割を果たしているようで、オーダーシートの一番下に、一品ごとの値段が小さく書かれている。
安いもので15元、高いもので30元くらいのようである。
とりあえず、8-9品注文して、あとは、おしゃべりしながら出てくるを気長に待つだけである。
まず最初、フライング気味にでてきたのがコレ。
あれ、こんなん注文したっけ?しかもこんな早いタイミングで。
ていうか、これ「萝卜糕(大根もち)」じゃ、ないのかな?
とか言いつつも、自分たちが注文した物自体、はっきり把握しているわけではない。
もしかしたら、さっき注文した「何とかサラダじゃないの?」と勝手に決め付け、まあいいから食っちゃえということで食べたら、海老風味のピリ辛で結構おいしかった。これならビールのつまみでもいけそうだ。
食べているうちに、注文したものが次々と出てくる。
きのこ入り担々麺(担担面)
担担面は、いろいろな店でみかけるが、ここのは絶品で、客人も「うまい、うまい」を連発していた。まさに「忘れがたい味」
ちなみに、ここの担担面にもピーナッツが入っていたので、客人は不思議そうにしていたが、南国では、ピーナッツがいろんなところに入っている。食材の一種といってもいい。
で、ここでさっき言ってた「何とかサラダ」登場。
創作風何とかサラダ
ぱりぱりした外側の皮の中にサラダ、海老が入っているという、意外な取り合わせ。
「あれ?じゃあ、さっきのだいこん餅は一体何だったの?」ということになり、さっき持って来た男性店員に確認すると、どうも彼が間違えて持って来たようであった。
「何だ、やっぱり。」ということで、一件落着。
まあ、オーダーの間違いは中国では日常茶飯事。
こういうのも含めて、中国という感じがしないでもない。
烧卖 叉烧包 などお馴染みのメニューが続々と
料理がおいしいと、話が弾む。
また話をしている間にも、どんどん、注文したものが運ばれてくる。
皮蛋粥(ピーダン・ジョウ)
ピータン入り粥。米の粒がひたすら細かくトロトロ感がたまらない。
叉烧包(チャーシュー・バオ)
これも、正統派の叉烧包。日本の肉まんのルーツとでもいえる存在であるが、こちらはあっさりと上品にしあげてある。日本の豚マンの感覚で挑むと少し物足りないかも。
烧卖(シューマイ)
これも日本のシューマイのルーツ。てっぺんに、海老が乗っかっていてユニークな形をしている。
肠粉(チャンフェン)
中国ではお馴染みの腸粉。一般の食堂とかのはペラペラで、おいしいと感じたことがないが、ここのは、もちっとした食感で「なるほど、これが腸粉か」と思える納得の一品。
虾胶(シャジャオ/ハーガオ)
中にプリプリの海老が詰まっていて、一口かめば、飛び出してきそうなほどの弾力感。ジューシー感、半端なし。また、水晶のような薄い皮に包まれており、見た目も鮮やかでグッド。
あとは、甘いもの系も一つだけ。
马拉糕(マラーガオ)
日本でおやつにもなっているが、こちらは、ずっとあっさりとして、ふわっとした食感。視覚的にもインパクトはあるかも。
というわけで、次から次へと、どんどこ出てくるわけであるが、それほど量があるわけではないので、ちょうどいい感じではある。
ただ、点心が出てくるたびに、私、客人ともに写真取りまくりで、周りの中国人からは「あいつら何者?」と思われていたかもしれないが・・・・
「あー、食べた、食べた。」といって、時計をみるともう3時間くらい経過している。周囲には、客がほとんどいなくなっていた。
埋单(マイタン)ということになり、勘定をすると
8-9品でしめて160元程度(約3,000円)
客人は「これで、この値段だったら安い。」といっていた。
自分は、日本では、本格式中華というものを食べたことがないのでわからないが(日本に帰ったとき食べるのは、王将くらい)日本で、このレベルのものを食べると何倍もするし、やはり微妙に違うのだそうだ。
やはり、本場のものは本国で食うのが、一番いいねという結論に達して、お開きとなった。
補足
飲茶で出される「点心」は、一般に薄味が多いので日本人と一緒に行くには、もってこいだと思う。
ただ、自分の経験上、広東省以外の中国人を連れて行っても、あまりうれしそうな顔をされないので、注意が必要である。湖南人、湖北人等、大陸中国人は、普段から辛いものばかり食べるので、ああいった薄くて、甘いものが主体の食事に慣れないのではないだろうか。
また、そういう人に、ヤムチャと言っても通じないこともある。「ヤムチャ」という言葉自体が広東語だからである。
「潮江春」羅湖店へのアクセス
今回、訪れた「潮江春」ですが、羅湖「国貿」駅から東方面に歩いて五分くらい、「陽光酒点(サンシャインホテル)」の向かって右方向の二階にあります。
深センには、羅湖店の他、福田、南山にもあるようです。
その他「飲茶」お薦めの店 「丹桂軒」
深圳には、その他、いろいろ、飲茶ができる店があります。
以下、羅湖イミグレから近い、新都酒店(センチュリープラザホテル)の二階にある「丹桂軒」(ダングイシュエン)もいいと思います。
数人(2-4人)なら200元(4000円弱)くらいでしょうか。
オーダーの仕方等は、「潮江春」と同じシートでオーダーする方式です。
丹桂軒 ロケーション
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