さて、話は変わるが、香港と同じく中国の特別行政区という肩書きをもつマカオは、香港と類似するところが沢山ある。気候や文化はもちろん香港がイギリスの植民地であったのに対し、マカオはポルトガルの植民地と歴史的ないきさつも似ている。
しかしその植民地時代の宗主国が違うとこうも違うのかと、今回不覚にもそう思ってしまった。
香港とマカオ、似て非なるもの
資本主義の権化のような香港という街とは対照的にゆったりとした時間の流れるマカオ。
現代、今を感じさせる香港に対し、歴史、物語性を感じさせてくれるマカオ。そのせいか香港に比べると、より西洋の異国情緒が色濃く感じられる。旧宗主国のポルトガル人というのは、実利を重んじるアングロサクソン民族と違って心に余裕がある人々のようである。そういうポルトガル的なやさしさというものが、街の中で随所に見受けられた。
おばあちゃんとお孫さん。顔をのぞいてみると完全にポルトガル人の末裔という感じ。マカオは基本的にはチャイニーズの街であるが(中国系95%、その他5%)時々、ポルトガルやブラジル系の人たちを見かけることができる。
中国だと段差が多すぎて、正直、車椅子で移動するのも、ままならないが、ここだと、そういう配慮が十分になされていそうである。また、何気にこういう木がにょっこり顔を出しているのもいい。
いつの間にか、中心街へ
さて、そうこうしているうちに、なんだか道を行く人の数がどんどん増えてきた。どうやら、中心街にたどり着いてしまったらしい。
いかにもという感じの郵便ポスト
すべての窓がバルコニー?付き。
更に行くと、いかにも門前町といった雰囲気の狭い通路があって、人であふれかえっている。「手信(お土産)」の文字も見える。
その門前町を抜けると、いよいよマカオの顔ともいうべきファサードが見えてきた。
聖ポール天主堂跡(大三巴牌坊)
さらにセナド広場のほうへ降りていく。
マカオの主要スポットを動画で補足
自分だけで見て回ると、どうしても「ああココが有名なセナド広場か。ガイドブックと同じだな。写真とっとこ(パシャ!)」で終了してしまうので、全く進歩が無い。そこで、ちょっと動画で補足してみる。
聖ポール天主堂跡(大三巴牌坊)、セナド広場(議事亭前地)を中心とするマカオの歴史的建築群は、2005年に世界遺産として登録されていますが、以下の動画で、建築物の紹介をしています。広東語だが、字幕と映像を照らし合わせながら見れば、なんとなくは分かると思います。
澳门足迹 10.End(広東語、字幕在り)
民政総署大楼(1784年)
中国とポルトガルの折衷様式(中葡合作精神的建築)の代表建築として、内部は市民にも開放されているとのこと。
仁慈堂大楼、同善堂
仁慈堂大楼は、アジア最古の慈善施設。内部は博物館になっているとのこと。
郵政局大楼(動画6;30くらい~-)
恋愛巷(恋愛の小道)(動画11分くらい~-)
主に名前の由来について。
この通り沿いの建築の色合いがロマンティックだから、そう呼ばれたのではなく、一種の言葉の誤訳によるものであるとのこと。ポルトガル名「Paixao」は「天主の慈愛」の意味であったが、当時の辞書が「恋愛」と訳してしまったため、恋愛巷(恋愛の小道)と訳されて今に至ったようだ。
「すべては美しい誤解から生まれたものなんですね。でもそもそも恋愛というのは、誤解から生まれるものですから。」
聖ポール天主堂跡(大三巴牌坊)(動画12分くらい~-)
1602年に建築が始まり、40年をかけて完成。しかし1835年火災によって、前面を残して消失してしまった。しかし、その全体像は、壁面からうかがうことが出来る。
建物は、中葡(中国とポルトガル)折衷様式で、壁面に様々なレリーフが彫られており、悪魔のレリーフなら、誘惑からの克服を表すとか、それぞれ意味があるようだ。
「なぜ、世界遺産になったのか?」という質問に、解説者は、教会は欧州にいくらでもある。廟は中国にいくらでもある。しかし教会のそばに廟があるという場所は、欧州にも中国にも無いということ。
哪咤庙1888 年(動画16分くらい~-)
哪咤(ナジャ)という子供の神様を祭っている。旧暦5月18日はナジャの誕生日にあたり、マカオでもお祭りになっているとのこと。
茨林園(動画17;30~)
多くの日本のキリスト教徒が、マカオまで来て、天主堂の建設に関わったことについても触れている。ちょうど日本の戦国時代、キリシタンが増えてきた頃で、信徒が海を渡ってマカオまで来ていたんですね。彼らは、馬鈴薯などを植え、村落をつくっており、のちに「茨林園」と呼ばれたとのこと。その後は、現地人が定住。
マカオ(澳门)聖ポール天主堂跡(大三巴牌坊)へのアクセス
マカオ(澳门)Ⅲ に続く
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